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プロダクトマネージャーカンファレンス2020レポート

不確実な未来を想像し意思決定する3つのコツとは? エウレカ金田氏が語るコロナ禍のプロダクト作り

【A-1】Pairsにおけるプロダクトリーダーシップについて セッションレポート

7つの視点でビジョンを文章化

 では、以上の現状分析を踏まえて、どうプロダクトの価値に落とし込むのか。金田氏は、素案に対してプロダクトビジョンを書き出しておくという。プロダクトマネージャーとしては自身の考慮不足を確認することになり、議論に使えば認識の齟齬を防ぐ役割が期待できる。金田氏は自身がプロダクトビジョンを書き出す時に使っている7項目(下図のカッコ内)を紹介。こうした各項目を文章化しておくことで、開発チームだけでなく経営層やマーケティングチームなどとも意思疎通をしやすくなるという。

プロダクトビジョンの7項目
プロダクトビジョンの7項目

 前述のビデオデート機能のリリースでも、この7つの項目を素案で書き出したと話す金田氏。実際の機能は開発されておらず、目に見えるアプリがない状況であったが、サービスのリリース計画や経営判断、マーケティング戦略立案ができたという。プロダクトの目指す姿が文章化できているので、経営や開発、マーケティング、PRといった各プレイヤーの目指す方向がずれにくくできた。

 とはいえ、プロダクトビジョンは書き出せば良いというわけではない。それぞれの立場のプレイヤー全員が共感して取り組める形に仕上げなければならないからだ。意見を集約し、実際に作れそうか検討してみないと分からないことも多い。金田氏はプロダクトビジョンを何度も書き直し、それを伝えて認識のズレを潰したり、議論を重ねたりと奔走したという。前述の「個人が力を発揮しなければならないこと」の一つが、このプロダクトビジョンのすり合わせだろう。

遠い未来は考慮しすぎない

 こうした素案を作るには、将来がどうなるかを予想しなければならない。プロダクトマネージャーの役割には「『未来を想像せよ』という教えがある」(金田氏)。解像度の高い素案作りは、まさに未来を想像する作業そのものだろう。金田氏も、緊急事態宣言が発出される1週間ほど前には事態を予測し、事前に社内で開発計画に対する意見を何人かと議論していた。こうした根回しもあって、リモート主体での開発体制やサービスリリースといった活動がスムーズにできたという。

 最後のコツとして、金田氏は「遠い未来ではなく、少しだけ未来を想像するといい」との考えを示した。プロダクトの5年後、10年後といった未来を考えることはあるものの、世の中の変化が早い現代では「どうなるかは分からない」からだ。極端に言えば、「やらなきゃいけないと考えていたことが、明日にもやらなくていいことになるかもしれない」という。

 想像する未来が遠すぎると、組織の内部でしっかりと共有するのも難しく、予想通りにならないリスクも大きい。プロダクトマネージャーとして考えるべき未来とは、言葉にして説明すれば共有できるような、比較的近い未来で構わない。

 これらは、何かを決めなければならない重責を追うプロダクトマネージャーのプレッシャーを和らげ、質の良い決定をするためのコツと言えそうだ。

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この記事の著者

広田 望(ヒロタノゾム)

 物書き、工学学士(応用化学)、理学博士(物理学) 日経BPに入社し、日経コンピュータ記者や日経ビジネス記者を経験。2019年6月にAIベンチャーへ転職し、深層学習を組み込んだサービス開発や人材開発に従事した。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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