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話題のあの人にインタビュー!

「あれは強烈なカルチャーショックだった」 UE清水社長が語った転機とは

ユビキタスエンターテイメント社長が語るビジネスロジックとは


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携帯コンテンツ業界だけを見ていたら未来はない?

清水
携帯のコンテンツがどんどん進化してきて、気づいたら飽和しているからです。アプリになって性能が上がったと思ったら、昔のゲームをプレイするという、歌でいう「懐メロがもてはやされる」状況になってしまっています。カラオケも懐メロ主体になってから流行りが終わりました。懐古主義がメインになり、それしか儲からない世界になると、面白味は減っていきます。
編集部
なぜでしょう?
清水
携帯コンテンツの市場もどんどん大きくなっていますが、「新しいものが出てきて評価される」ということが減っている。「懐かしのものが流行る」と、こういった土壌がなくなってしまうんです。ゲーム機業界も似たような状況なのですが、こうしていろいろな点に絶望しつつ、携帯だけにこだわっていたら会社が滅びるだろうなと思っています。

モバイルコンテンツ業界に起きている問題

編集部
なぜ携帯コンテンツ業界はそのような危機的な事態に置かれているのでしょうか?
清水
2001年当時の携帯業界の大手コンテンツプロバイダはどの企業も業績好調でした。ですが現在はこれらの企業全てが儲かっている状態ではありません。これは2001年ごろから分かっていたことなんですよ。
編集部
何が原因なのでしょうか?
清水
いろいろ原因はあるのですが、当時の好況の理由が、携帯電話関連事業がバブル状態にあったからと言えるでしょう。例えば着メロは大変なブームになったけれども、着うたでは著作権の関係で同じビジネスモデルではサービスを提供できませんでした。

また携帯の「待ち受け画面」を販売するサービスが流行ったけれども、それもブームでしかなかった。PCの世界でも、昔はお金をとって壁紙やスクリーンセーバーを売っていましたが、今では販促物として無料で配るものです。携帯も同じです。待ち受け画面だけでなく、デジタルコンテンツ全体がお金をもらうことができなくなっています。
編集部
今では何でも無料で手に入りますね。
清水
例えばアバターみたいなものも昔は売っていましたが、今は、ユーザーが買うものではなく、スポンサーに入ってもらい、スポンサーの商品を購入する時に、「アバターがゲットできる」というサービスのように、ユーザーではなくアバターを企業に買ってもらっています。要するにこれも販促物です。スクリーンセーバー、壁紙、ブログパーツもそうですが、これらは全部販促物に業態転換しています。だから今、モバイル業界で一番元気なのはモバゲータウンを展開するDeNAさんなんです。デジタルコンテンツを商社的に取り扱えますからね。
編集部
コンテンツに対する意味合いが変わってしまったということでしょうか。

コンテンツのボーキサイト化

清水
今の携帯コンテンツ業界のような状態を、僕は「コンテンツのボーキサイト化」と呼んでいます。アルミニウムの原料であるボーキサイトのように、コンテンツが低価格で量産されるようになっています。
編集部
ボーキサイト化とは面白い表現ですね。そういった現状では、具体的にはどういったビジネスをすることになるのでしょうか?
清水
着メロは一時期、どこのサイトでダウンロードしても全く同じデータだったことがありました。これは、要するに着メロ市場が値崩れして1曲50円とか100円とかで取引されるようになってしまったのです。着メロは流行曲が次から次へと出てきて消費されるのが早い。中国などで作られてどんどん単価が安くなっています。すると一番儲かるのは、最終的に商社なんです。弊社が関連している企業でも、こうしたモバイルコンテンツ商社が儲かっています。国内では外国企業が作れない本当に価値のあるものを提供できないと生き残っていけない。この傾向はこれからもっと強まるでしょう。
編集部
ゲーム業界も厳しい状況ですか?
清水
あまり一般に知られていないかもしれませんが、ゲーム制作の下請けというのは、とても大変な仕事ですよ。クリエイティビティが優先される仕事という印象があると思いますが、クライアントであるプロデューサーを満足させなければならない。製品の出来に明確な基準がなく、プロデューサーを説得しなければならないんです。しかも締め切りがない。
編集部
締め切りがないのは、むしろ楽という気もしますが?
清水
いや、下請け業者には締め切りはあります。でもプロデューサーには「この日までに作りたい」っていう気持ちしかなくて、結局最終的にはクオリティが満足行かないという理由で、締め切りが無限に引き延ばされることがしばしばあります。さらに期間を延ばしてもその分の報酬は出ない場合もあります。だから、「これは無理だ。少なくとも締め切りのある人たちと仕事しないと」という、いい教訓になりました。

会社を作るときに超大手ゲームソフト会社の創業者の方に「ゲーム会社だけはやるなよ。ソフトが売れなかったらどうしようと考えてしまい、今でも夜安眠できないんだ」といわれた事があります。それもあって経営者としてはゲーム業界からなんとか脱出しなくてはならないと考えたのです。もちろんゲーム会社でもやりがいがあり、なおかつ稼いでいる職場や会社も多いとは思いますが。

儲けるためには「ビジネスパイプラインを作れ」

編集部
やりたいことと経営は別ということですね。
清水
企業が継続的に成長していくには、ラットレースから抜け出さなければならない。僕が教訓にしているのは、(ゲーム施設、家庭用ソフトを事業とする)テクモ株式会社の中村純司さん(元代表取締役社長)の「ビジネスパイプラインを作れ」という言葉です。
編集部
ビジネスパイプラインとはどういう意味なのでしょうか?
清水
もともと中村氏は、商社に勤めていた時に中東で石油コンビナートを担当していたこともあり、常に「ビジネスパイプライン」っていう言葉を使ってビジネスを説明するんですよ。「ビジネスっていうのはパイプラインでなければダメだ」と。

会社はパイプラインで、一方からお金を入れたら、反対側へ3倍になって出てくるという、そういうトランジスタのような機能を果たさないといけない。だから2000万かけて3000万稼げますという話ではダメなんです。儲けが1000万ではあまりにも少ないからです。ただしそれが2億円かけたら3億円出てくるように大規模で成り立つなら、その時初めてビジネスになるんです。
清水
ゲーム会社は2000万かけたら1億円になるかもしれない。けれども2億円かけても10億円という規模にはならない。つまりコストをかけても売り上げの保障がないのです。これがゲーム業界が難しいことの理由の1つでもありますね。

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自分たちが得意な「パイプライン」を手がける

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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