あつ森を舞台にしたDevOpsカンファレンス
カンファレンスは楽しい。講演ではさまざまな学びや気付きが得られ、同じ課題に取り組む同士とも出会える。特にオンサイトでは、同業種の知り合いとばったり会って会話に花が咲くこともある。もちろん、異業種のイベントにひとり出かけているときも、会場内を歩き回るだけで何となく心が浮き立つ。そんな刺激やワクワク感をオンラインのイベントでも体感することはできないだろうか。もしかして、オンラインならではの楽しい仕掛けがあるかもしれない――。
コロナ禍の外出制限で鬱々とした日々を過ごしていたデベロッパーのオースティン・パーカー氏は、そんな何気ない思いつきから昨年、DevOpsコミュニティ向けのオンラインカンファレンス「Deserted Island DevOps」を開催した。会場に選んだのは、同氏がゲームキューブ時代から大好きな任天堂の人気ゲームシリーズ「どうぶつの森」の最新版「あつまれ どうぶつの森」(通称:あつ森)。講演者と参加者のコミュニケーションの場は、ボイス/テキストチャットツール「Discord」のチャネル。実験的な試みに当初は不安があったパーカー氏だったが、蓋を開けてみれば視聴者数は合計(ユニークビュー)8500件を超え、大盛況で幕を閉じることとなった。
そして2021年5月。開催を望む声に後押しされ、第2回「Deserted Island DevOps 2021」が催された。
会場は、前回に引き続きパーカー氏の島だ。ここで、あつ森をプレイしたことがない人向けに、簡単にゲーム内容を説明しよう。あつ森は、無人島に移住したプレイヤーが、同じく移住してきたどうぶつの住民たちと暮らし、交流しながら、昆虫採集や魚釣り、家具作りなどを楽しみ、まったりスローライフを送るというゲームだ。できることは色々だが、そのひとつに他のあつ森プレイヤーと互いの島を訪問し、一緒に魚釣りなどで遊ぶという機能がある。パーカー氏はこれを利用して、講演者のキャラクターを同氏の島に招待。パーカー氏宅の部屋のひとつを会場にして、カンファレンスを開催した。
カンファレンスは、ゲームのライブ配信用プラットフォーム「Twitch」で配信された。プレゼンのスライド画面やその他表示は、オープンソースのライブストリーミング配信ソフト「Open Broadcaster Software(OBS)」を使ってゲーム映像に合成。この映像に、パーカー氏とZoomでつながっている講演者の音声を乗せることで、まるでゲームのキャラクターが目の前で講演しているかのようなライブ映像を完成させた。技術面についてはパーカー氏のブログに詳細がまとめられているので、興味のある方はぜひ参照してほしい。
今年は、LGBTQの若者たちの自殺防止や危機介入に取り組む非営利団体「The Trevor Project」への寄付を実施。最終的には7000ドル近くが集まり、カンファレンスに花を添えた。計13本の講演の中から、チーム作りやDevOpsの導入に役立つ2本を紹介しよう。