一貫したブランドづくりで意識していること バルクオムが目指すものとは
――ブランドを体現するために心がけていることはありますか?
ブランディングで大切だと考えているのは、BULK HOMMEを人格として捉えたときに、「BULK HOMMEってこういう人だよね」という人物像が一本化されているか、という点です。
2021年7月に初のフラッグシップショップとなる「BULK HOMME THE STAND」もオープンし、店舗での販売も開始しましたが、空間やデジタル問わず、ユーザーがBULK HOMMEに触れたときに「これってBULK HOMMEらしくないよね」と思われてしまったら意味がありません。
メイクであろうと、プロダクトが変わろうと、BULK HOMMEのブランドを貫き通すこと。また既得価値と新しいモノの価値を両立するために、「こんな側面があったなんて知らなかった」をなるべく少なくしていくことも意識しています。

――では、一貫したブランドを作るために、クリエイティブディレクターとしてどのようなスキルが必要なのでしょうか。
バルクオムのクリエイティブチームは人数も多くないですし、私も手を動かして作ることもあれば、ほかのデザイナーと協力しながら進めることもあります。ですが自身で作ったものがいちばん可愛く見えるケースも多い。そういったときでも、正しいものを正しくジャッジし、導いていくことを常に意識しています。なるべく客観視して、俯瞰してみるようにするんです。
バルクオムでは私がジャッジをすることも多いのですが、社長の意見を聞く場は積極的には設けないようにしています。あくまでもうひとりの自分が見たらどう思うか、を意識して取り組んでいますね。俯瞰して捉える力を身につけるためのファーストステップは、「デザイナーとしての自分はどうでもいいや」と考えられるようになることだと思います。
――最後に、バルクオムの今後の展望についてお聞かせください。
部署チーム関係なく、バルクオムとして目指している「メンズスキンケアブランド世界シェアNo1」のために、それにふさわしいブランドの姿を作り上げていくことがひとつの目標です。
ただ、言葉としての目標は、「世界シェアNo1」というくらいファジーでも良いと思いますが、そこからブレイクダウンして各チームが正しい動きかたをする必要があります。
現状、バルクオムではミニマルな世界観をつくっていますが、スキンケアをとおして熱狂を与えるブランドになっていきたい。言葉をかえれば、世界に対して影響力のあるブランドになっていくということです。
私たちが目指すのは、一家にひとつなくてはならない普遍的なブランドになるのではなく、そこにさらに熱狂をオンし、強いブランドになっていくこと。ミニマルでシンプルなバルクオムらしさをただ表現できれば良いわけではありません。それで熱狂を生むことができるのか。そこに驚きはあるのか――。そういった部分を意識した作り込みを、クリエイティブチームでは行っていきたいと思っています。
――吉原さん、ありがとうございました。