リノベーションや制度づくりのあとに取り組みたいこと
コミュニティをいかに広げていくか
芳賀(聞き手) 全6回にわたってお届けしてきた本連載も今回で最後になります。もちろんこれからも考え続けていくことではありますが、リノベーションや制度づくりをしてきた中で、感じている課題や今後取り組んでいきたいことについて教えてください。
中條 とくにコロナ禍後に入社した中途入社の社員や新入社員、若手社員は、どうしても自分のコミュニティが、所属する部署やプロジェクトで関わる人だけになりがちです。今とは違う別のコミュニティにも入れるよう、仕組みとして積極的に取り組んでも良いのではないかと話しています。
川原田 新制度検討チームのメンバーも、今はコロナ禍前の会社の状況を知っている人たちのみで構成されています。コロナ禍後に入社した人たちから、「まだ直接会ったことのない先輩や役員がいる」と聞きましたが、オンラインコミュニケーションが中心となっている中で、まさにコロナネイティブな人たち、社歴の短い人たちがどういった課題感を抱えているのか、想像しきれていない部分があると思います。
新制度検討チームの中でも、ある程度強制的にコミュニケーションをとるための場やコミュニティをつくるのはどうか、というアイディアも挙がっています。
デジタルとリアルの融合と共存
芳賀(聞き手) 渡邊さんが課題に感じていること、今後取り組んでいきたいことについて教えてください。
渡邊 新型コロナウィルスが日常的に存在することが前提となったときに、どう動くかだと思います。リスクをとるとか、そういうことではないのですが。
今後は、「オフラインの人とオンラインの人が同じ空間にいて成立すること」や「ギャップをなくしていくこと」が課題になっていくと思っています。オフィスや制度の中で解決していくことに限界はありますが、座席のありかたなどまだまだカスタムできる余地はあるので、そういった部分にも取り組んでいきたいです。
川原田 「デジタルとリアルとの融合」という側面では、基本はデジタルだけどリアルも上手く使う、といったアフターデジタル的な考えかたになるのかなと、個人的には思っています。
あと少し大きな話になりますが、環境負荷の観点も気になっています。
オンラインが中心になって、すべての活動が電力エネルギーを消費していく方向に向かっていると思うんです。たとえば今こうしてオンライン座談会をしている中でも、常に電力を消費していますよね。こういった状況で、いかに省エネに配慮してすべての活動をするためには何ができるのかを、いろいろな企業活動の中で考えていかなければいけないと思っています。
無駄なエネルギーを消費せず、かつ無駄なコストを発生させずに、どのようにデジタルベースで活動をしていくべきか。個人、組織、社会でみんなが考えていかないと、地球環境がもたなくなってきているのではないかと思うんです。
渡邊 とくに僕たちより若い世代はさらに意識していると思うので、環境負荷の問題に取り組んでいる企業姿勢は、ますます重要になっていくなと。
中條 「脱成長」ですよね。このまま経済成長だけを目指しても地球にも個人にも、ハッピーではないと思っています。とても大きなテーマなので「じゃあどうすればいいんだろう」となりますが、小さなことからでもアクションにつなげていくことが、個人においても組織においても大切なことではないでしょうか。