はじめに
本記事では、まず人数増加に伴うチームの肥大化に対してチーム分割という手段で対処することになる背景を説明します。その後、分割の際に気をつけるべき6つのポイントをチェックリストの形でまとめます。最後に、なぜそのチェックリストの項目が重要かを解説します。
チーム分割を行う背景
ソフトウェア産業においてエンジニアリングはビジネス価値の源泉となる、いわば生産手段です。
よってエンジニアリング組織の強化は設備投資と言え、ビジネスを加速させるためには不可欠です。そしてエンジニアリング組織の強化は、基本的には人材の採用と育成によってなされます。したがって、順調に成長するエンジニアリング組織の人数は増加する傾向にあります。
ではエンジニアリング組織の人数が増加するとどうなるのでしょうか。当然ですが、チーム一つあたりの人数が増加します。そして、以下のような問題を引き起こします。
コミュニケーションコストの増大
一対一のコミュニケーションパスは、n人のチームにおいて(n)(n-1)/2本存在します。すなわち、チームが線形に増加するとコミュニケーションコストはn2のオーダーで増加していきます。
すると、どこかで人数が一人増加したときに、メンバー一人が増えることによる生産性の増加分よりも、コミュニケーションコストの増加分の方が大きい地点が存在すること になります。
- 参考:ブルックスの法則
チームリーダーの負担増
チームリーダーの仕事は組織によって異なりますが、チームの生産性を高めるため、多かれ少なかれメンバー一人ひとりと向き合っていると思います(1on1による成長支援、人事評価など)。
リーダーとして見るメンバーの人数が増加すれば、当然リーダーの負担は増加します。