Google Cloud公式ユーザー会「Jagu’e’r」の3名のU30エンジニア
本パネルディスカッションは、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パートナー事業本部/Partner Development Manager 黒須義一氏のモデレートのもとスタートした。開始早々、黒須氏は「エンジニアとしてのキャリアの考え方とか未来像を、大いに赤裸々に語っていただきたい」と、モデレーターもブレーキを踏まないぞと宣言。3名のエンジニアにそれぞれ自己紹介を依頼した。
クラウド時代のサーバー監視&分析サービスを提供するDatadog Japan合同会社 Technical Solutions/Sales Engineer 木村健人氏は、クラウドの技術・コミュニティを愛し、インフラ・クラウドエンジニアのキャリアを築いている。Google Cloudは11、AWSは12、Azureは13の資格を保有、2022 APN ALL AWS Certifications Engineers、Google Cloud Partner Top Engineer 2023も受賞。Jagu'e'rではデジタル・クラウド人材育成分科会とo11y-SRE分科会の運営リードの一員。
国内最大の印刷企業の大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 ICTセンターSPF開発本部 DX基盤開発部 CCoE(Cloud Center of Excellence)グループ 岡本奈名氏は、CCoEネイティブのエンジニアとして社内にパブリッククラウドを推進する業務を担う。Jagu'e'rではGCPユーザー内の若手女性エンジニアが繋がれる分科会「ビストロじゃが~る八番街」を立ち上げ、メンバーを募集中。
オンライン薬局の開発・運営を行うPharmaX株式会社 開発BI部門 エンジニア/薬剤師 竹内謙太氏は、薬剤師免許取得後、新卒からエンジニアとしてのキャリアを歩み、現在バックエンドからインフラまでを守備範囲に活躍中。Jagu'e'rではクラウドネイティブとスタートアップの分科会の運営を行っている。
自分がやりたいことに向かう、U30エンジニアのキャリアの磨き方
黒須氏は早速「Q1、エンジニアのキャリアの磨き方」という問いを3名に提示する。黒須氏は「今やエンジニアのキャリアは、組織や会社が与えてくれるものではなく、自ら道筋を見つけて磨いていくという風潮に変わってきています」と述べ、3名にどうキャリアを見つけてきて、これからどう磨こうと思っているのか聞いた。
現在3社目の竹内氏が口火を切った。竹内氏は、薬科大学卒業後、新卒で東証一部上場の企業にエンジニアとして入社、その後ヘルスケアのベンチャー企業で開発を経て、今は薬局、薬剤師の知見を生かせるオンライン薬局のスタートアップであるPharmaXで開発業務を行っている。
竹内氏は「学生時代から趣味でプログラミングをやっていたのですが、プログラミングはもちろん楽しく、こうした技術とヘルスケアを掛け合わせたヘルステック領域なら、自分の力を発揮でき社会貢献につながる、そこが一番自分の価値を発揮できる場所なんじゃないかと思って、薬剤師の知見を生かしたエンジニアを目指すことを決意しました」(竹内氏)。
黒須氏からは、転職は心のハードルも高いので大変ではと問われると、竹内氏は、一般には3年は務めるという話は聞くが「自分がやりたいことに近い選択肢が転職ならば、私自身としては転職も一つの道と考えています」と加えた。
続いて黒須氏は岡本氏に「大日本印刷へは最初からエンジニアとして入社されたのですか」と尋ねた。岡本氏は、技術職採用として入社し、配属前の職場体験でCCoEグループに好印象を持ち、希望したという。
岡本氏は「私は、業務もですが人間関係を大事にしたいので、職場体験でCCoEの人の雰囲気が気に入って希望しました。思った通り上長がかなり良くしてくださって、Jagu’e’rのコミュニティ活動などいろいろな活動に協力してくれます。本当に上長には恵まれました」と語る。
さらに岡本氏は、外部コミュニティに参画することは、自分にとって大事だとし「転職せずに同じ会社にいると、やがて会社に沿った考えになりがちです。そんなとき外部のコミュニティと会話すると、会社発想とは無縁の話ができ、忘れがちな思いに気づけます。これはとても大事にしています」と述べた。
木村氏は、新卒時はSIerに総合職として入社。大学は文系だったので、エンジニアか、営業か、コーポレート職かという選択があったが、エンジニアになりたい気持ちがありその道を進むことに。やがてクラウド技術と衝撃的な出会いをする。これは面白いと魅力に取りつかれ、クラウドを中心にキャリアを築いていこうと決断した。
木村氏は「そうしたら、同じ会社に居続ける必要はないんじゃないか、自分のやりたいことは外にもあるんじゃないかと気付き、今のDatadog Japanに移動しました」と述べた。
そして一心不乱に向かった先が今の場所と語り、現在4大クラウド制覇のため資格取得にチャレンジしている。
木村氏は、自身が文系出身のため、IT技術に疎い方に向けて、ITの技術の良さや自分が扱う製品の良さなどを伝えていきたいと述べた。
「周りのU30エンジニアと私」、自分は他と何が違う?!
次は「周りのU30エンジニアと私」として、黒須氏は自分と周りのエンジニアとの違いは何と感じるか、自分の強み弱みも含め聞きたいと伝えた。
木村氏は、所属の企業にとらわれないという考えを示した。会社に所属すると、社内において自分は何ができるかとか、会社の仕事に対して自分がどうすべきかと考えがちだ。木村氏は「ただ自分は、クラウドが面白い、楽しいっていう気持ちが真ん中にあったので、そこで自分が実現できることに目を向けています」とコメントした。
竹内氏は、自身が薬剤師からエンジニアになったように「ブレーキを踏まない、自分のやりたいことに突き進む気持ちや実行力が他の方とは違う」と語った。ただブレーキを踏まないと、ぶつかったり失敗したりすることは多々ある。そんな時でも応援やサポートをしてくれる人がいるとし、「助けられながら、アクセルを踏み続ける」との考えを示した。
岡本氏は「仕事をしていると嫌なことはあります。そんなとき私が他の方と違うと思うのは、そういうネガティブなことに思考を奪われないように意識することかなと思います」と述べ、実際に嫌なことをやらなければならないときは、嫌だと思うことを考えないようにしている。黒須氏は「物理的な自分は奪われるけども心は奪われない。手は動いているから文句は言われない。分離されているということですね」として素晴らしい方法と感想を述べた。
「U30をマネジメントしているシニアな方へ」と上司への期待を聞く
話題は尽きないが、最後の質問になった。「U30をマネジメントしているシニアな方へ」として、上司に一言言ってくれと黒須氏は、無茶振りを詫びつつ3名にお願いした。
上司に恵まれているという岡本氏は、「自分のことを理解してくれている」と前置きしつつ、生まれてきた時代、性別、生きてきた背景も異なるため、「考え方が違うことを念頭に置いてくれると嬉しい」と述べた。違いへの理解が薄いと、話の前提が合ってないまま話が進んでしまうことがある。黒須氏も、違いがあることを意識すると「先入観がなくなる」ことにつながるとメリットを述べた。
竹内氏は「ぶつかりかけることが多々あるのですが、一緒にサポートしてくれる、背中を押してくれるような経験をいただけると、とてもいいと思う」と語った。上司の中には、自分でやったほうが速い、逆に何でできないのといったことを言う人も多い。竹内氏は「そこはぐっとこらえて、一緒にやることが互いのためによいと思う」とコメントした。
木村氏は、クラウドへの興味を自分の中で確認する行為が資格取得だった。資格があることで、この技術に興味がある、理解していることを示せると、木村氏は自分自身にとっての資格の意味を説明した。「だから、それを理解してサポートしていただけたら、とても嬉しい」と言い、黒須氏も、社員の関心事(木村氏の場合は資格取得)を頑張れと応援するようなマネジメントならU30の方々も前向きになれるのではと加えた。
パネルディスカッションはここで終了。このあと匿名でも質問できるQ&Aに特化したサービス「sli.do」を活用し、参加者から質問を募集し質問への回答が行われた。
Q:今回のセッションで、参加者の方に一番伝えたいポイントは?
竹内氏:ブレーキを踏むのはもったいないと思う。思いとどまっていると、せっかくのチャンスを棒に振ることにもなりかねない。
黒須氏:「とにかくアクセルを踏め」ということですね。
木村氏:自分に合うやり方があると思う。それを見つけたら、それに突き進む、アクセルをベタ踏みがおすすめです。
Q:木村さんは、クラウドのどのような点に魅了されましたか?
木村氏:クラウド自体はITの技術がたくさん詰め込まれているようなもの。それが簡単に利用できるのは、かなり魅力です。ネットワークや仮想化の技術が抽象化された上で扱うことができて、勉強した後、触ってみたいなら、パソコンですぐに触れるところも面白い。大規模なシステムにも使われているものと同等ですから、これなら何でもできるじゃんと思える。こんな点に魅了されました。
Q:転職でベンチャーを選んだ理由は?
竹内氏:より挑戦できる環境がある、自分の裁量が大きいところがある点です。私自身、若い頃から挑戦ができるチャレンジングな仕事をやるといった方が、自分の成長につながると思ってベンチャーに取り組みました。
Google Cloud公式ユーザー会「Jagu’e’r」について
Jagu’e’r は、Google Cloudユーザーやパートナー企業様の相互交流を深めそれぞれの企業が持つ経験やノウハウを共有し合う場として是非ご活用ください。
開発者と技術者のための「Google Cloud Innovators プログラム」
Google Cloud Innovators プログラムは、すべてのGoogle Cloud開発者と技術者のための、役立つ情報を共有しあい、活気あふれるメンバーシップ プログラムです。また、Google Cloudに関する学習と成長を加速させるとともに、活躍するメンバーの認知を高めることもできます。開発者、技術者、学生、クラウドの専門家など、どなたでもご参加いただけます。