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Developers CAREER Boost 2024 セッションレポート

エンジニアの「好き」は最強の武器! somgmuさん・micchieさん・yigarashiさんが語る、それぞれの「自分戦略」

【A-8】技術とマネジメント どんな道でもいいんじゃない? 多様な「自分戦略」を語ろう


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 多方面に大きなインパクトを与えるIT技術の進歩。LLMをはじめとした生成AIの台頭は省人化を進めるだけでなく、ITエンジニアの価値も問い直している。AIとの差別化を図るためにより自らの技術を特化させるべきか、マネジメント領域に行くべきか。自分なりのベストを尽くすには、どのように立ち回れば良いのだろうか?「技術とマネジメント どんな道でもいいんじゃない? 多様な”自分戦略”を語ろう」と銘打たれた当セッションでは、3名の登壇者のキャリアやその考え方などを通じて、技術者のキャリア形成について探った。

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自らの「好き」がキャリアの原点

 最初に語られたのは、パネラーそれぞれの「キャリアの転換点」だ。松木雅幸氏は、「イベントへの登壇などを経て、自分の中でエンジニアとして生きていこうと決めた、2008年ごろ」が転換点だと振り返る。

 それまでは自転車やボウリング、料理といった「趣味に生きる」ライフスタイルをとっていた松木氏だが、エンジニアリングやソフトウェア開発が好きだという自覚を持ち、「好きなことで生きていく」と決めたことで人生が好転していった。

松木 雅幸(songmu)氏
松木 雅幸(songmu)氏

 さらには、自らの「好き」を自覚したタイミングで、コミュニティにも目が向くようになった。当時ははてなダイアリーやTwitter(現X)が台頭した時期であり、エンジニアコミュニティも大きな盛り上がりを見せていた。これらへ飛び込んだ経験も、松木氏のキャリア形成に大いに役立った。

 「好きなことを『好き』と宣言するには勇気がいる」と語る松木氏。さまざまな可能性の中から、自分が本当に好きなことは何なのか? を徹底的に考え抜くことで、たとえ苦境に陥ったとしても、他責思考に陥らず「自分が決めたことだから仕方がない」と踏ん張るマインドが得られるという。

 採用活動にも携わってきた松木氏だが、「自分自身も2009年にはWeb系企業への就職に失敗し、新卒の就活もうまくいかなかった」苦い経験から、「仮に採用見送りとなったとしても“悪い体験”にしてほしくない」と、求職者側への配慮も述べた。

自らの選択と「計画的偶発性」がエンジニアとしての自分を形成

 株式会社メルカリのWork Sales Operation Designに所属する白川みちる氏もまた、エンジニアリングマネージャーやバックエンドエンジニアなど、さまざまな役割を経験してきたエンジニアの1人だ。「マネジメントに取り組んでいると手を動かしたくなる。そこで転職をするのだが、新たな職場でもマネージャーになる、というサイクルを何回か繰り返している」という白川氏の芯にあるのは、「必要とされたい、誰かの役に立ちたい」という思いだ。

株式会社メルカリ Work Sales Operation Design 白川 みちる (micchie)氏
株式会社メルカリ Work Sales Operation Design 白川 みちる (micchie)氏

 営業職を1年で辞め、エンジニアへと転身したという経歴を持つ白川氏。所属企業の倒産なども経験しながら、2011年頃からプロジェクトマネージャーや組織のマネジメントを担ってきた。こうしたキャリアの変遷について「自分の興味が赴くままに、やりたいことを選んできた」と総括する。

 マネジメント職と技術職の往復を繰り返してきた白川氏だが、エンジニアリング組織ではないメルカリへの転職には怖さを感じ、思い悩んだこともあったという。しかしその不安は杞憂に終わった。今は「エンジニアリングを楽しんでいる」という白川氏は、現職であるメルカリへの転職がまさに転換点だと語った。

 2019年に新卒で入社し、現在は株式会社はてなでエンジニアリングマネージャーを担う五十嵐氏は、松木氏が「僕たちの世代の発想を壊してくれる存在」と期待を寄せる若手エンジニアだ。

 一定以上の世代には、「エンジニアはマネジメントをやりたがらないものだ」という先入観が根付いている。しかし近年では、マネジメントに抵抗のない若手エンジニアが増えているという。

株式会社はてな コンテンツ本部 エンジニアリングマネージャー 五十嵐 雄(yigarashi)氏
株式会社はてな コンテンツ本部 エンジニアリングマネージャー 五十嵐 雄(yigarashi)氏

 五十嵐氏もまた、アプリケーションエンジニアとしてキャリアをスタートさせたものの、マネジメントに関心を寄せるようになった1人だ。

 「開発に取り組んでいるうちに、だんだん開発『以外』の部分が面白く見えてきた」という五十嵐氏は、2021年に「エンジニアリングマネージャーを目指す若者の戦略」というブログ記事を発表し、約500件のブックマークを獲得。多くの人に読まれたことで、ピープルマネジメントやテックリードを経験する機会を得るなど「自分のキャリアが大きく拓けた」と語る。

 自社サービス「はてなブログ」が起点となったこの体験について、「EMのキャリアモデルを自分なりに整理し、発信することによって、テンポよくEMのキャリアを進められた。発信という手段を取ることで周囲を自分のキャリアに巻き込むこともでき、勢いもついた」と前向きに振り返った。

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「衰え」に向き合うベテラン、「将来」に悩む若手エンジニア

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この記事の著者

中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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