カンバンの使い方における問題
1週間分のタスクを書き出してもらって、最初の2日ほどはうまく行っているように見えました。
うさぎくんのチームでは、カンバンを取り入れる前から「朝会」という今日の予定と進捗を確認するためのミーティングを10分ほどやっています。
今までは「今日はこれをやります」という報告を口頭で聞くだけでしたが、チームメンバーで同じカンバンを囲みながら話すと「このタスクは明日でいいと思ってたけど、今日やらないとねこさんのタスクに影響がでそう」といった、タスクの繋がりを意識した発言も出てくるようになりました。
チーム開発らしさが出てきた気がする、とチーム全員がカンバンに満足していました。
タスクの粒度
カンバンを導入して3日目、いぬさんのタスクがまだDOINGのレーンにあることに気づきます。

「このタスクってそんな重いの?」と聞いてみると「いや、予定通り。このタスクは4日ほどで終えるつもりだよ」と返ってきました。

一方で、TODOレーンをよくみると、とりさんがアサインされたタスクが10個もあります。
「1週間でこんなできるの?」と問いかけると「1タスク20分くらいのつもりで細かくタスクを切っているんだ。調査系のタスクが多いからかもね」と答えてくれました。
隣で、いぬさんは「えっ、1時間かからないタスクはめんどくさくてカンバンに書いてないな……」とバツがわるそうな顔をしています。
タスクの粒度が人によって全然違うので、ぱっと見はいぬさんがなかなか仕事が進まず、とりさんがたくさん仕事をしているように見えましたが、実際はふたりとも問題のない進捗でした。
並行タスクによる進捗の見えなさ
この進捗の見えなさが気になって、DOINGレーンをよく見てみると、ワニさんがDOINGレーンにタスクを4つも入れていることに気づきました。

「1日で4つのタスクを並行で進めることなんてできるんですか?」と驚くと、「いや、着手してみて詰まったら別のタスクをとっているだけ。4つあるうち3つは、今日明日中はやらないと思う」と説明してくれました。
それを聞いたとりさんが「えっ!」!と声をあげました。
「今DOINGにあるから、明日くらいにはこのタスクは終わってると思ってたよ。そろそろ取りたいタスク、それが終わるのを待ってたから、詰まってるなら早く言ってほしかった」と困り顔です。
レーン移動の認識ちがい
うさぎくんは、カンバンをつかってもまだまだわからないこともあるんだなあ…… と思いながら自分のタスクをDONEレーンに移しました。

それをみたねこさんが慌てて「そのタスク、修正もう終わったの? まだ承認してないけど……」と聞いてきます。
うさぎくんは「修正はあるけど、レビューはしてもらったからDONEのつもりでした。こういう時は、いつも新しく修正用タスクを作ってるんです」と答えました。
ねこさんは「私はそういうときはREVIEWレーンからDOINGに戻してたんだよね。まあ、どっちが正しいとかじゃないんだけど……」と考え込んでいます。
カンバンのルールを決めよう
同じものをみているつもりでしたが、人によって使い方に違いがあることがわかってきました。
同じカンバンを複数の人が使うなら、やはり一定のルールが必要です。
うさぎくんのチームは、カンバンの使い方を話し合って以下のようなルールを決めました。
- 20分以上かかりそうなものはタスク化する
- 2人以上の承認があるタスクのみDONEとする
- DOINGにはひとり2個以上のタスクを入れてはいけない
- タスク粒度は最大でも1日程度にする

これではじめて、本当の意味でチームみんなが同じカンバンを使っている状態になれました。
カンバンをつかって属人化を解消しよう
カンバンによってお互いがやっていることはぐっとわかりやすくなりましたが、チームに新たな問題がおきました。
先日ワニさんが2日休んでしまって、ワニさんをアサインしたタスクが動かせず、リリース日を延期する調整が発生してしまったのです。
このチームは、この人はこのタスクというかたちで、個人によってできる仕事に大きく偏りがあります。この属人化はいつか解消したいとチームメンバー全員が思っていましたが、業務の引き継ぎの時間なんてとれないからな…… と諦めムードになっていました。
カンバンがあれば相手の仕事がわかる
ある日の朝会で、とりさんが「明日までの差し込みがたくさんきてしまった。緊急性があるのはわかるけど、間に合いそうにない。どうしよう」と悩んでいます。
今まで、とりさんがよくやっている調査タスクは具体的に何なのか、うさぎくんにはわかりませんでした。しかし、カンバンでお互いのタスクが見られるようになってから、前よりとりさんがやっている仕事や、どういう依頼があってそのタスクになったかというイメージがつくようになっていました。
タスクの規模感がわかると引き継ぎを進めやすい
うさぎくんは勇気をだして声をあげました。
「よかったら手伝いましょうか。ぼくは今日明日の急ぎの仕事はないし、前にとりさんなら20分で終わるタスクだと前に言っていました。その規模感なら、聞きながらやればなんとかなる気がします」

とりさんはとても喜んでくれました。とりさんはうさぎくんの横の席に座りながら、中でも比較的簡単なタスクについて、調査方法を教えてくれました。
そうして無事、とりさんは差し込みタスクを希望どおりの1日で片付けることができました。
うさぎくんは、このくらいの負担なら、大きく仕事を止めずに属人化解消が進められそうな気がしました。普段と違う領域の仕事を学ぶのは面白いし、とりさんに感謝されたことでモチベーションもあがりました。
とりさんも「うさぎくん本当にありがとう。私もうさぎくんの仕事を少しずつ引き継げるようにするよ」と、属人化解消に協力的な姿勢です。
属人化解消は少しずつ進める
今までうさぎくんは、属人化解消は人の仕事を1から100まで一気に引き継がなければいけないと思っていました。しかし今回、仕事の一部分だけができるだけでも助けになれることがわかりました。

ひとりが100、全員が10できる状態でも、負担の偏りを少なくできます。
