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イラストでわかる! 今日からはじめるスクラム

チームでスクラムを始めよう!ストーリーで解説する必ず当たる壁とその乗り越え方

イラストでわかる! 今日からはじめるスクラム 第2回

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 チームにスクラムを取り入れるときは、まずはスクラム導入前の準備が重要です。カンバン導入からスクラム導入につなげる方法や、具体的なスクラム導入準備の話をストーリー仕立てで説明します。さらに、タスクの粒度や並行タスクによる進捗の見えなさ、レーン移動の認識の違いなど、カンバンの使い方における問題点や、初めてのスプリントプランニングでの注意点を紹介します。

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はじめに

 第1回では「ひとりでも始められる!スクラムのエッセンスを日々の仕事に取り入れよう」というテーマで、スクラムにおける経験主義のメリットや自分の仕事への取り入れ方を説明しました。

 今回は「チームにスクラムを取り入れる」をテーマに説明していきます。

 特に、チームにスクラムを取り入れる上で壁になりやすいこと、そして、その壁の壊し方についてスポットをあてます。

この記事の対象読者

  • スクラム導入段階でチームに生じやすい障壁について学び、その問題の打開方法を知りたい人
  • チームにスクラムを取り入れたいが、どこから始めればいいかわからない人
  • チームの状態を見える化するために「カンバン」をやってみたいと考えている人
  • 属人化解消を進めたい人

スクラムは導入前の準備が重要

 今回の記事では、スクラムそのものの説明よりも「スクラムを始める前準備」について重点的に説明していきます。

 スクラムがうまく機能しないチームの多くは、スクラムを取り入れる前準備が不完全で、その後が破綻してしまうことが多いからです。

 以下のアンチパターンを踏まないようにしましょう。

  • スクラムを既存のチームに突然導入する
  • 属人化が解消できていないのにスクラムを始める

 ある日突然、仕事のすべてをスクラムの流れにしてしまうと、チームの混乱や反発を招きます。チームにとって取り入れるハードルが比較的低いことから、少しずつ導入することが肝要です。

 新規チームであれば最初からスクラムでも問題はありません。

 また、スクラムはチーム開発において機能する方法です。属人化が解消できていないままスクラムを始めると、プロジェクト・チームともに破綻するリスクが高くなります。

 ここでは、カンバンを使いながら、スクラム導入ができる状態にチームを持っていく方法を紹介します。

 ひとつ注意点として、カンバンはスクラムにとって必須なものではありません。ですが、カンバン導入を起点としてスクラムにつなげていくと、導入がスムーズにいきやすいので、活用していくことを強くお勧めします。

カンバンの導入と使い方の説明

 第1回でカンバンの話については簡単に触れましたが、チームでカンバンを使う前提で改めて説明していきます。

 カンバンとは、タスクを以下の状態に分類することで、チームが今なにをやっているかという進捗状況を一目でわかるようにするものです。

  • 今誰が、何をしているか
  • まだ始まっていないことは何か
  • 終わったことはなにか

 やり方としては、会社の壁や大きなホワイトボードに付箋を貼り、チームメンバーだけでなく、チーム以外の人にも広く目に付く場所にあることが望ましいです。

 チームがどういった活動をしているか誰にでもわかる透明性が確保できることで、チーム内だけでなく関係者の安心感にもつながります。

 リモートワークがふえてきた今は、GitHub ProjectsやNotion、Confluence、TrelloといったWEBツールを使って管理する場合もあります。最初にツールを選ぶときは、誰もが使える、慣れているツールであることを優先しましょう。ツールの使い方にてこずってしまうと、カンバン導入の効果が半減してしまいます。

 レーンと呼ばれる縦一列のエリアにタスクを書き出すことができればいいので、良いものがなければ、Google スプレッドシートなどでもかまいません。

 WEBツールをつかう場合でも、関係者が誰でもアクセスできるところに置いておくようにしましょう。

ストーリーでわかる チームへのカンバン導入

 ではここからは、具体的なスクラム導入準備の話をしていきます。

 この準備期間にチームに起こることのイメージがしやすいよう、ちょっとしたストーリー仕立てにしてみました。

 登場人物の簡単な紹介です。

 若手メンバーと中堅メンバーが半分半分で構成されたうさぎくんのチームで、仕事のやり方を少しずつスクラムに適用させていくと、どんな変化がおきるでしょうか。

 それではさっそく、うさぎくんが自分専用のカンバンをつくったところから見てみましょう。

 前回の連載をみて、自分の個人タスクをカンバンで管理するようになったうさぎくん。

 同じチームのねこさんもそれを見て「私もそのカンバンというもので、でタスク管理をしようかな」と言い出したので、うさぎくんは「じゃあ、せっかくならチーム全員でカンバンをやろう!」と意気込みます。

チームのカンバンを作ろう

 うさぎくんは、チームメンバーにカンバンをやろうともちかけました。

 実際に自分のタスクをカンバン管理してどう良かったかを説明したところ、チームメンバーからも「思い思いにタスク管理をするより、全員のタスクが1枚のボードで見られるのはよさそう」や「タスク管理は苦手だけど、みんなと一緒だったらできそう」と良い反応が返ってきたので、さっそくカンバンの準備を始めました。

 うさぎくんは、チームメンバーが普段つかっているツールの見た目をカンバンらしくなるように整えます。

 TODOレーン、DOINGレーン、REVIEW、DONEレーンの3つを作るだけなので、すぐに終わりました。

 うさぎくんはチームメンバーを集めて、「じゃあここにみなさんの1週間分のタスクを書き出してみてください」とお願いし、タスクを書き出してもらいました。

 チームメンバーからは、「へえ、こんな仕事をやってたなんて知らなかった」や「これって事前設定が必要って聞いたことがあるから、タスク追加したほうがいいかも?」「このタスクって、私がやってるタスクと少し内容が被っているから参考になるかも」と、カンバンを囲みながらチームの会話が弾みました。

 みんなが持っているタスクが明らかになっただけでも、お互いの理解が深まったようです。

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この記事の著者

西野 香織(ニフティ株式会社)(ニシノ カオリ)

 ニフティ株式会社のN1! という制度で、スクラムエバンジェリストを担当しています。アプリチームのスクラムマスターをやりながら、スクラムについて社内外で説明したり、社内のスクラム導入を支援したりしています。A-CSM所持。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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https://codezine.jp/article/detail/17632 2023/04/24 11:00

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