開発組織改善MTGの落とし穴! 積極的な課題抽出を阻む、意外な原因とは?
「開発組織改善MTG」の実施は一見簡単に見えるものの、植野氏によると「運用にはくれぐれも気をつける」必要があるという。その最たるものが「心理的安全性」の確保だ。たとえば、ある提案を行うと、提案者がその内容を一番理解していると思われ、問題解決の担当者にもアサインされてしまう。
組織やチームとして改善していこうと提案しても、結局自分が推進することになるのなら、提案をやめようという気分にもなるだろう。こうしたことを気にせず、問題の提案のみに集中することを大前提の場にすることで、心理的安全性を確保しようというわけだ。
この心理的安全性を確保するために、「①問題を提起する際、誰が書いたかがわかるように名前を書くが、実際の担当は話しながら決めていく」「②書いた時に解決策まで思いついていなくても構わない」という2つのルールを特に重視しているという。そのうえで、問題だと思ったこと、改善したいことをとにかくNotionにあげることを徹底した。
その結果、約半年間で全75件提言され、そのうち68件について解決に向けたアクションが取られているという。植野氏は「アジャイルと同様、毎週何か提起される問題があり、それに対してアクションが取られる状態がよい。完璧にやりきらなくても、ちょっとでも改善できるという積み重ねが大切」と評した。なお、必ず振り返りも行い、その進捗を共有することが重要だという。
なお、たいへん有用なMTGではあるが、新入社員をはじめ、全員がいる場で話すのが苦手という人も少なくない。そこでマネージャーとの定期的な1on1も実施し、別途不安や違和感などのヒアリングを行っている。開発組織改善MTGの外でも、そうしたフォローをきめ細やかに実施することが大切だ。