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Developers Summit 2023 KANSAI セッションレポート(AD)

チームの開発生産性を上げるために、エンジニアができることとは?──FastLabelの事例に学ぶ、エンジニアファーストな組織づくり

【Session7】エンジニアファーストな開発生産性への取り組み

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 事業を加速させるうえで開発生産性の向上は必須であり、現場の課題を解決し、ニーズに迅速に対応する必要がある。言葉にするのは簡単だが、実現するのが難しい。今回、FastLabel VPoEの植野晃司氏はそのヒントとなる事例をセッション中で紹介した。エンジニアが中心となって取り組んでいる開発生産性向上の取り組みや仕組みづくりなどを解説する。

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「開発組織改善MTG」でPDCAサイクルを加速、エンジニアファーストな開発を目指して

 AI開発の全プロセスをカバーするサービスやプロダクトを開発・提供するFastLabel。設立3年目の急成長株であり、同社VPoEの植野氏は「スタートアップでは、さまざまな価値あるものを創って世の中に提供するPMF(Product Market Fit)が基本。迅速なPDCAで仮説検証・改善することが望まれる」と語る。つまり、速いスピードで機能リリースを実施し、改善することが求められる。そのサイクルスピードを上げるのに、「開発生産性(Developer Productivity)」の向上が必要というわけだ。

FastLabel株式会社 VPoE 植野 晃司氏
FastLabel株式会社 VPoE 植野 晃司氏

 開発生産性を上げる方策では、Linterの導入やTestの拡充など手段・ツールの話になりがちだが、植野氏は「それをどうやって取り入れるのか、組織や文化の方が重要ではないか」と指摘する。つまり、PDCAサイクルを高速化するには、メンバー全員の課題発見・解決能力を高め、仕組み化することが有効というわけだ。

 なにか問題があった時、経営層やマネージャーが施策を打つこともできるが、現場の困りごとや事情は、現場の方がより深く熟知しているはずである。もしかすると、現場スタッフは既に解決のための最適解に気付いているかもしれない。そこで、FastLabelではボトムアップでの改善・対応が望ましいと考え、「エンジニアファーストな開発生産性向上」を目標として「開発組織改善MTG」を実施している。

 このMTGでは、「よりよい開発のためにどうすべきか」をテーマに、毎週金曜日の夕方にプロダクト開発に関わるメンバーが集まって、ボトムアップでの議論・実践を話し合う。エンジニア出身の同社CEOも同席するなど、Unit(チーム)や役職に関わらずさまざまな立場の人が集まり、東京・大阪間をリモートでつなぐこともあるという。

「開発組織改善MTG」の様子
「開発組織改善MTG」の様子

 MTG当日までに各参加者がNotionに用意されたリストへ「改善したい内容」や「問題だと感じる内容」などを記載する。MTGではリストから取り組み内容を議論して決め、その上で実践するという流れになっている。テーマは特に限定しておらず、「PCメモリの増設」から「AWSを自由に使える検証環境」「バッチやテストのCI希望」など、さまざまなトピックが出されている。開発に関わることであれば何でもOKというスタンスだ。

 植野氏も「ソースコードのtypoが多いこと」に気づいたときに、メモするような気持ちでNotionに問題を提起したことがあったという。このときのMTGでは、スペルチェックができるライブラリ「cspel」の導入提案があり、結果的に導入・運用がスタートした。

実際の改善事例
実際の改善事例

 また開発環境については、Dockerで構築し、環境ごとに差分を調整していたが、IntelやMacなどマシンによってはDockerfileに手を入れる必要があった。そこで、支給PCの統一や推奨スペックなどについても議論し、それまで個人のPCはおのおので購入していたものを、MacBook M2 Proに統一した。これについては、開発だけでなく人事や総務部門なども巻き込み、会社の制度として改革に至った。

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開発組織改善MTGの落とし穴! 積極的な課題抽出を阻む、意外な原因とは?

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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提供:FastLabel株式会社

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https://codezine.jp/article/detail/18405 2023/10/13 12:00

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