Repro株式会社事例:チームトポロジーによるプラットフォームとの連携進化
最後に3番目の特徴である「組織構造進化の方法」について、実際の事例をもとに解説していきたいと思います。
Repro株式会社(以下Repro)では「Repro Web」など複数のサービスを展開し、それに合わせて組織を拡大・試行錯誤をしてきました。2018年インフラチームの立ち上げ、2019年大規模スクラムフレームワークのLeSSを導入、2021年LeSSの形骸化によるプロジェクト制の導入などです。その結果インフラチームの責任範囲が急速に増大し、エンジニア全体の認知負荷が急増してしまいました。これは有識者が語るアンチパターンでもあり[2]、インフラチームがあらゆるものを受け入れるバケツのようになり、フォーカスを失うことで、結果組織全体に大量の無駄が発生してしまう現象です。
2022年、その解決策としてチームトポロジーの考えを導入し、組織の再設計を試みました。上記図のように現在と将来を可視化し、 インフラチームを分割し開発チームの認知負荷削減を目的にしたPTとして再編したのです。「SATとPTの分割指針」「チーム間のコラボレーションのあり方」「APIやドキュメントの整備の方向性」などが明確になったのは導入の成果だったと言えます。現在は道半ばではあるものの、認知負荷の低減に向けて着実に前進しています。
このように認知負荷の増大をきっかけに、組織変革の議論が開始されることこそが、チームトポロジーに進化に必要な「組織的センシング」の能力であり、技術や顧客の環境の変化が速い時代においてプラットフォームを進化させる重要な組織能力だと言えます。
詳しくは以下の資料をご覧ください。
終わりに いきなりがらっと変えるのではなく小さな一歩が重要
Reproの事例のようにチームのあり方やチーム間の連携は意思決定をしたからすぐ変化するものではありません。あるべき姿を描きながら、現在とのギャップに対し小さく変化をしていくことが重要です。これが、チームトポロジーが適応型組織設計と言われる所以でもあります。単に組織図上だけで組織をいじっても本当の価値は生まれません。顧客価値の最大化という共通の目的を持ちながら、現場での気付きを活かし、チーム同士が様々な困難を乗り越えて新たな変化を獲得していく必要があります。
Platform Engineeringには技術だけでなくこのような「人間臭い部分」が重要と言われます。そういった人間臭さのベースを理論だてているのがチームと連携を定義したチームトポロジーとも言えます。なお、本家teamtopologies.comのWeb上には「インフォグラフィックス」と呼ばれる、チームトポロジーの導入のため8ステップの概論が日本語でも提供されています。本連載でチームトポロジーの導入にご興味をもった方はぜひ一読をお薦めします。
それでは次回以降の連載にもご期待ください。
