米Amazon Web Servicesは、Redis OSS互換のインメモリデータベースである「Amazon MemoryDB」におけるベクトル検索の一般提供を、7月10日(現地時間)に開始した。
Amazon MemoryDBにおけるベクトル検索は、インメモリパフォーマンスとマルチAZ耐久性を備えた、リアルタイム機械学習および生成AIアプリケーション開発のための、ベクトルの保存、インデックス作成、取得、検索を可能にする機能。
今回のベクトル検索の一般提供によって、Amazon MemoryDBはAWS上の一般的なベクトルデータベースの中で、最高のリコール率で最速のベクトル検索パフォーマンスを実現する。これまでは相矛盾していたスループット、リコール、レイテンシのいずれかを実現するために、いずれかをトレードオフする必要はなくなった。
あわせて、単一のAmazon MemoryDBデータベースを使って、最高レベルのリコールで1桁msのクエリおよび更新応答時間でアプリケーションデータと数百万に及ぶベクトルを保存できるようになったことから、生成AIアプリケーションアーキテクチャが簡素化されるとともに、最高のパフォーマンスを実現し、ライセンスコスト、運用負荷、データに関する洞察の提供にかかる時間が削減される。
Amazon MemoryDBにおけるベクトル検索では、既存のMemoryDB APIを使用して検索拡張生成(RAG)、異常(不正)検出、ドキュメント検索、リアルタイム推奨エンジンといった、生成AIユースケースの実装が可能になる。また、Amazon BedrockやAmazon SageMakerといったAIと機械学習サービスを使用してベクトル埋め込みを生成し、MemoryDB内に保存することもできる。
なお、今回の一般提供にあたっては、
- MemoryDBを低レイテンシで耐久性のあるセマンティックキャッシュとして動作させ、生成AIアプリケーションのコスト最適化とパフォーマンス向上を実現するVECTOR_RANGE
- ベクトル検索を実行する際に、類似性をより適切にフィルタリングするSCORE
- メモリ内のベクトルが重複しないようにするための共有メモリ。ベクトルをMemoryDBキースペース内に保存し、ベクトルへのポインタはベクトルインデックスに保存される
- もっともパフォーマンスが求められる生成AIアプリケーションを強化するための高いフィルタリングレートでのパフォーマンス向上
といった新機能の追加や機能改善が行われた。
現時点で、Amazon MemoryDBを利用可能なすべてのAWSリージョンにおいて、ベクトル検索を利用できるようになっている。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です