楽しいを見つけるための「挑戦」の重要性
では、自分なりの「楽しい」を見つけるためには何をしたらよいのだろうか。二人はずばり「挑戦」だと言い切る。
「いろんな仕事を経験することで『これが楽しかった』とか、『これはちょっと嫌だった』といった気づきを得られます。そういった経験の中から『自分なりの楽しい』が固まっていくのではないかと思います」(佐藤氏)
つまり「楽しい」を見つけるためには経験が大事であり、その経験をたくさんするためには挑戦が重要だ、と佐藤氏は言っているのである。
一方、Koheki氏は「そもそも『楽しい』の前に、漠然とした不安がある」と、不安が先に襲ってくるタイプであると説明。その不安をなくし、楽しい状態に向かうために挑戦が「必要」と言い換えた。
というのも、Koheki氏の言う「漠然とした不安」とは、「できるかどうかわからないから、できない気がして怖い」というもの。そこで、挑戦して「できるかどうかわかっている」状態を増やすのだ。
「挑戦することで、自分にとって『できる』または『できない』とわかっていることを増やしていく感じです。できることはもちろん怖くないし、できないことは怖いんですが、できないとわかっているから取れる手がある。不安は不安だけど、漠然としていない不安になるんです」(Koheki氏)
佐藤氏もこの考え方には納得の意を示し、「不安が先に来る人こそとにかく挑戦してみて、そこから楽しいにつながる何かが見えてくるかもしれない」と補足した。
ここで佐藤氏が「Kohekiさんが挑戦するときに意識していることは?」と問いかけた。すると「勢い!」とこれまた言い切るKoheki氏。「私もよく(勢いで)やります」と佐藤氏も同意した。
「つまり、挑戦の最初の一歩を勢いで乗り切りましょう、ということです。例えばAWSの試験にとりあえず申し込んでおいて、後から勉強して何とかするといったやり方は、皆さんもやったことがあるのではないでしょうか」(佐藤氏)
挑戦におけるハードルは間違いなく最初の一歩にある。そこをこういった「頭で考える前に動く」「とりあえずやってみる」といった「勢い」で乗り越えることで、挑戦自体のハードルも下がっていくのだ。
とはいえ、そもそも「勢いがでない」という人もいるだろう。そこで参考にしたいのが、Koheki氏が紹介した「勢いを出すための処世術」。それは「『これ興味あるんですけど、自分できますかね?』と、判断を先輩に丸投げすること」だ。判断に不安がある人も多いが、それを先輩にお願いしてしまうのである。
「ゴーサインを出した先輩はめちゃくちゃ必死にサポートしてくれます。若手特権の乱用です」とKoheki氏は冗談めかして言った。
実は今回のセッション登壇も、二人の「勢い」による挑戦で実現したという。社内のSlackで登壇者の募集がかかっていたところ、二人とも何気なく絵文字で反応したのだ。佐藤氏は以前もDevelopers Summitに登壇経験があったため、Koheki氏の希望でサポート役もかねて今回の登壇が決まった。
佐藤氏は「前回勢いで『やります』と言った登壇の挑戦が、今回Kohekiさんの登壇のサポートにつながって、いい経験になりました。後輩の挑戦を後押しするって結構楽しい」と語り、まさに今回の挑戦から「はたらく楽しさ」を見出していた。
いつまで「勢い駆動」でいいの? 中堅の苦悩
ここでKoheki氏は「今は若手として勢いだけでなんとかなっているけれど、これから部下や後輩ができてもこのままでいいのか?」という悩みを、佐藤氏に尋ねた。たしかに、「勢い駆動で挑戦する」というのは若手の特権だと思われがちだ。
しかし佐藤氏は「中堅こそ勢いで挑戦して、若手に『勢いで挑戦していいんだよ』と伝えるべきではないか」と提言する。
中堅になりつつある佐藤氏自身も、もっと上の「ベテランの背中を見たい」と言い、「ベテランも勢いで挑戦してほしいですし、失敗の仕方みたいなのを後輩に見せてほしい」と語った。
とはいえ、失敗が許容されない状況もある。佐藤氏は「勢い駆動で挑戦するには失敗できる環境が大事」という点も補足した。
「同社ではバリューの中に『Honor the Challenge』(失敗を恐れずに挑戦する)という、挑戦を推奨する内容が含まれています。失敗を恐れなくてよい文化が根付いているので、私たちも安心して勢い駆動で挑戦してこられたのだと思います」(佐藤氏)
セッション全体を振り返って、佐藤氏は「『はたらくを楽しく』について考えてきたら、『勢い駆動の挑戦が大事』ということがわかりました。はたらくにおける楽しさは人それぞれ違います。皆さまが自分なりの楽しさを探してみようと思っていただけたらうれしいです。そのために『勢い駆動で挑戦していこう』と思っていただけたら」とまとめた。
最後にKoheki氏が「勢い駆動で挑戦しよう」という言葉を再度掲げて、セッションを終えた。