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エンジニアのアクションを事業成果につなげるには? 個人とビジネスが共に成長する仕事の向き合い方

【Session2】「考え方」で変わるクリエイターの成長ベクトル~アクションと事業成長を連動させる方法~

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デザイン経営の導入で、事業成長への貢献意識の醸成を加速

 当事者意識を持って会社への貢献という意識をさらに醸成したのが、2021年より導入したデザイン経営である。

 これまでは顧客とユーザー、自社の3点を中心に課題解決やニーズの発見を行っていた。デザイン経営導入により、その3点にプラスして社会視点を取り入れることになった。「モノづくりにはデザイン思考、経営にはデザイン経営という考え方がスタート。クリエイターだけではなく、営業やバックオフィスチームのメンバーも活用して事業運営をしています」(菅沼氏)

 案件の進め方は社会課題を見つけることから始まり、次にインサイトを考え、必要なことを検討し、戦術であるサービスや機能化に取り組む。このフローをウエディングパークでは3段方程式と呼んでいる。これら3段の中でエンジニアが必要とされる領域は戦術の部分であることが多いが、上流からエンジニアも含め、チーム全員で考えるのだという。この3段方程式で案件に取り組むことで、「エンジニアも事業貢献を支えていることがより理解できるようになり、スケジュール通りにリリースできることが事業成長への貢献の第一歩だと認識することにつながっている」と菅沼氏は言う。

 ウエディング業界特化型サーベイツール「survox」において、議事録・要約機能のリリースにつながった菅沼氏のアクションはその一例だ。survoxは、結婚式場で接客を受けたカップルにアンケートを取り、データとして収集し、新たなニーズを見える化、多角的な視点から課題解決を支援するというもの。

 議事録・要約機能が開発される発端となったのは、DX事業のチームからデータ推進を担っている菅沼氏に「蓄積されたデータから有用な分析ができないか」という相談されたこと。「結婚式場ごとに同ツールの利用目的や利用シーンが異なったり、データ量が十分になかったりするなどの理由から、機械学習で推論するのに限界を感じていました」と菅沼氏は当時を振り返る。

 そこでDX事業の技術責任者と話をする中で、接客現場の可視化をするのであれば、アンケートのサーベイだけではなく、リアルな接客の会話を収集すると良いのではという案が出てきた。「会話のデータを収集し、音声AIで文字起こしと要約にチャレンジさせてほしいと提案しました」(菅沼氏)

「議事録・要約機能」が事業成果に結び付いたワケ
「議事録・要約機能」が事業成果に結び付いたワケ

 音声AIの領域で必要となる録音、文字起こし、要約の3領域に分かれて技術検証を実施。それぞれの領域の特性を把握した上で、メリットやデメリット、コストなどを含めて議論し、採用技術を決定していったという。

 この段階ではサービス化まで検討していたわけではなかった。「営業もディレクターもエンジニアも一緒になって、この技術を付き合えば他にどんなことが解決できるのか、課題の洗い出しを行いました」(菅沼氏)

 こうした議論を行ったことで、活用の幅が広がりそうなことが分かった。その後、社内でプロタイピングを実施し、実際に業務の中で使えるのか検証していったという。「非常に便利」という声が多く届けられたが、使っているうちに業界用語をもう少し拾えないかという意見も届いた。

 その声に応えるようさらに精度を上げ、一部の結婚式場でテスト利用を実施。ユーザーからのフィードバックを反映し、検証を繰り返し行ったという。機能をブラッシュアップしていく一方で、生成AIを安心・安全に活用できるよう、法務関連の確認なども実施し、サービス化における懸念事項を一つひとつクリアしていった。このようなフローを経て、議事録・要約機能は新サービスとしてリリースされることになった。

 同機能をリリースしてまだ2カ月しか経っていないが、ユーザーからは「これがなかった頃には戻れません」「全体的に大満足のサービス」との声が届いているという。

 「このサービスは、私が仕事に対して思い描いてきた、自分の生み出したものが人の役に立つ、人の生活を便利にする、人を驚かせることを実現できただけではありません。事業成長にも貢献するという経験もできました」と菅沼氏は満足そうに語る。

 今年、ウエディングパークのクリエイター組織(エンジニアやデザイナーも含まれる)では、クリエイターがデザイン思考と具現化力を武器に事業成長をリードするという方針を打ち出した。「自分たちの技術や知見を駆使してサービスを作り、そのサービスを通じて社会課題を解決することで、事業成長に繋げていこうという考え方です」(菅沼氏)

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事業貢献につながるアイデアを出すために日頃から意識している考え方

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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