SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers CAREER Boost 2024 セッションレポート(AD)

プロダクトの「機能廃止」を決断した理由とは? 約30年にわたり人事労務を支える「COMPANY」の事例に学ぶ

【A-5】さらなる製品進化のために - 不要な機能を廃止していく

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

経営幹部まで巻き込み、機能廃止を決めた理由

 「COMPANY」Ver.8系のコードは約7,000万行に及び、30年にわたり大手法人グループの人事労務業務を幅広くサポートしてきたことを示している。WHIの約600名のエンジニアが開発・保守を担う中、納谷氏はコードの最適化と保守性向上を重要課題と位置づけている。利用状況を踏まえた機能の見直しを進め、将来の拡張性確保と顧客価値の最大化に努めている。

 利用の少ない機能を廃止するには、まず利用状況を把握することが不可欠だ。Ver.8はクラウドサービスであり、一定の応答性を満たせば製品開発者が随時データを取得できる。しかし、Ver.7以下は大半が顧客のネットワーク内に構築されており、外部と通信しないという意味で、利用状況を十分に把握できていない。 利用状況を取得するには、全ユーザーに個別確認するしかない。

 顧客対応はサポートセンターと担当コンサルタントが担っているが、膨大な機能群ゆえ、どの機能を実際に使用しているかをすべて完璧に把握することは困難である。特に何千人、何万人規模の大手法人グループでは、顧客側でも各機能の利用状況を完全に把握している担当者はほとんど存在しない。これが機能廃止を進めるうえでの大きな課題となっている。 

 そこでWHIは2023年1月から、不要機能の削減を含む「開発力向上プロジェクト(DIP)」を開始した。CTOや経営幹部がオーナーを務める全社的な取り組みとして進められ、開発部門に加え、フロント部門の代表者も参画している。不要機能の削減が会社全体の重要な課題であることを共有しながら進行している。現状にそぐわなくなった機能を適時に廃止できる体制を構築し、製品仕様の面から保守性を向上させることを目指した。

不要機能削減の課題とプロジェクトの方針
不要機能削減の課題とプロジェクトの方針

 2023年4月から、Ver.7以下の全ユーザーの利用状況データ取得が始まった。しかし、データの取得は社内の営業やコンサルタントだけではなく、顧客側にも対応を依頼しなければならない。

 そこで、データ取得作業を効率化するため、利用状況収集用のSQLを募集し、データ収集の仕組みを整備した。当初はデータ取得に課題も多く、期限が大幅に遅れたものの、2024年5月にようやくすべてのデータが集まった。これにより、エンジニアや開発者がデータを分析できるサービスを整え、具体的な分析作業が可能になった。

次のページ
機能の利用状況把握と廃止を進めるポイント

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Developers CAREER Boost 2024 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Works Human Intelligence

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/20661 2025/09/05 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング