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Developers Summit 2025 セッションレポート(AD)

コンテナで始めるIDP構築——開発者を支援するプラットフォームエンジニアリングとは?

【14-A-3】プラットフォームエンジニアの目線で見たコンテナ技術と活用方法を解説

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 DevOpsの導入は、本当に開発者の負担を減らし、効率性を上げたのだろうか。DevOpsの課題解消に向けて生まれた新たなアプローチ「プラットフォームエンジニアリング」に注目が高まっている。開発者が開発に集中できる環境を提供する鍵となるのが、コンテナを活用したIDPの構築だ。プラットフォームエンジニア目線によるコンテナ技術とその活用方法について、株式会社ジールのNoh Seontaek氏と岡田雄真氏が講演した。

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なぜプラットフォームエンジニアリングが必要なのか

 レガシーシステムをモダン化する際には、多数のレイヤーで構成されているDB・ミドルウェア・アプリケーションを、マネージドクラウドサービスやコンテナ化されたマイクロサービスに置き換え、三次元の立体的な構成に変更するケースが一般的である。

 しかし、この場合、アプリケーションに関しては、マイクロサービス化やインターフェースの変更、プロトコル変更によるロジック分離やリファクタリング、そしてDBに関しては、スキーマ変更やインターフェースのリセット、他にもネットワーク設定やセキュリティ、リソースの再構成や運用ポリシーの変更など、新たにさまざまな課題を抱えることになる。これにより、ラーニングカーブが急激に上昇し、学習に必要な認知負荷も高まってしまう。

 また、開発上の課題だけでなく、複数の部署との連携が必要となり、組織構成や責任の割り当てなどの組織的な課題も生じるだろう。実際、株式会社ジールのNoh Seontaek氏は、多くの部署から問い合わせを受けると同時に、“エラい人”を納得させるために多くの時間を要した経験があるという。

 「これでは、せっかく改善するためにモダン化したはずなのに、結局、時間もお金もかかってしまっている。そこで、DevOpsを導入して、改善しようと考えた」(Noh氏)

株式会社ジール クラウドマネージドサービスユニット・チーフスペシャリスト Noh Seontaek氏
株式会社ジール クラウドマネージドサービスユニット・チーフスペシャリスト Noh Seontaek氏

 DevOpsは、開発と運用のプロセスを統合して不要なコミュニケーションをなくそうとする概念であり、「You build it, you run it.(自分で作ったものは、自分で運用せよ)」という言葉で表現される。

 DevOpsを導入したことで、開発チームの効率性は上がった。だが、時が経ち、プロジェクトが増えていくと、クラウドネイティブ技術やアーキテクチャの複雑さは増していく。開発者があらゆる業務や責任を負わなければならない状況に陥り、DevOps導入前よりも生産性が悪化してしまったのだ。

 この問題にはオーストラリアのエンジニア Evan Bottcher氏も着目しており、「デジタルプラットフォーム」という概念を2018年に生み出している。さらにその翌年、デジタルプラットフォームの概念とDevOpsのアンチパターンを掛け合わせて誕生したのが、Matthew Skelton氏とManuel Pais氏が著した書籍『Team Topologies: Organizing Business and Technology Teams for Fast Flow』である。

 Bottcher氏が提唱したデジタルプラットフォームは、のちに「内部開発者プラットフォーム(以下、IDP:Internal Development Platform)」として進化を遂げている。IDPとは、開発者がセルフサービス機能を活用できるよう、ツールチェーンとワークフローを設計・構築したものであり、アプリケーションのライフサイクル全体に必要な運用要件を包括している。そして、このIDPを提供するのがプラットフォームエンジニアであるというわけだ。

 IDPがあれば、開発者は不要な負担を背負うことなく「You build it, you run it.」を実現して、自分の開発に集中することができるようになる。

IDPがあれば、他部署との連携によるコミュニケーションコストやタイムロスが発生しない
IDPがあれば、他部署との連携によるコミュニケーションコストやタイムロスが発生しない

 そんなIDPを提供するプラットフォームエンジニアリングの目標は、次の3つであるとNoh氏は語る。

  • Go faster(迅速に対応する):エンドユーザー(開発者)に迅速かつ持続的な価値を届けるべく、「Everything as a Service」を提供する。
  • Decrease risk(リスクを減らす):再利用可能なコンポーネントで手動プロセスを自動化する。
  • Increase efficiency(効率を上げる):デジタルプラットフォームとリソースを、フリートとして管理・拡張する。

 続いて、IDPの構築において最も重要であるというコンテナプラットフォームの話に入っていこう。

次のページ
IDP構築のポイント(1):コンテナランタイム

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

 フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

 フリーカメラマン 1975年生まれ。 学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。 卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や商品まで幅広く撮影。旅を愛する出張カメラマンとして奮闘中。 Corporate website Portfolio website

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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