開発者が越境するテスト改善
ヒューマンクレストは「“ちゃんと動かす”をサービスする」を掲げ、ソフトウェアテストや品質管理のソリューションを提供する企業だ。
同社で長年テストに携わり「自動テストが大好き」という浅黄氏は、本題に入る前に「ここでいう自動テストは、テストピラミッドの上の部分、UI層を操作するエンドツーエンドテストの話。Unitテストは含まれていません」と前置きした。

従来、開発者は開発を行い、テスターがテストを行う印象があるが、浅黄氏が支援した企業では、テスターがおらず、開発者がテストを実施していたという。「開発者がテストをするときに、どういった項目を押さえればいいか覚えてほしい」と浅黄氏。(しかもこの事例では、カスタマーサポートなど開発者以外のメンバーも越境し、テストに関わっている。)
では、テストを通して品質を向上するために、どんなことに注力すればよいのか。浅黄氏は「品質を構成する要素は3つある」と指摘する。「一般的な『品質』とは、プロダクトの品質のこと。しかし、それを向上するためにはプロセスや人の質も上げないと全体の品質が上がらない。そのため、プロセスや人についても取り組む必要がある」という。

これを踏まえて、今回紹介する事例では、開発者の「バグを見つける能力の向上」「バグを埋め込まない能力の向上」の2つを目指した。
テストスキルの向上によって、バグを早期発見できるようにすること。そして、バグの原因となりやすい「仕様の漏れ」や「影響範囲の調査の不足」が起きないよう、プロセスを見直す必要があるのだ。