安くて使い慣れたWordPressからの移行先、選定のポイントは?
そもそも移行に至る背景として、WordPressではバージョンアップが必要となりメンテナンスコストがかかること、プラグインのなかにはサポートが廃止されて使えなくなることが挙げられる。またHTMLを直接変更できるため柔軟性が高いと言えるが、スクリプトを自由に入れられるためHTML構造が壊れてしまうことも問題視されていた。他にもスマートフォンアプリ向けに読みものコンテンツのデータを構造化したい、写真にメタデータとして商品情報を紐付けたいなどの要望もあった。
とはいえ、WordPressはサーバー代以外はコストがかからない、柔軟性が高いといったメリットもある。慣れ親しんだ編集スタッフや社外パートナーも多くいて継続を望む声もあったが、最終的にはシステム管理上の観点から移行が決まった。
移行先CMSへの要件は各チームからいろいろ寄せられた。運営・管理側としては、WordPressと内製システムで管理していたコンテンツを一本化したいという要望があった。また読者や顧客が閲覧・検索しやすいことも重要だ。エンジニアチームにはメンテナンスコストを減らし、より機能開発に注力したいという要望があり、編集チームには入稿しやすさ、並べ替えやすさなど利便性や、データの再利用性への期待があった。
移行先CMS選定では、日本語がうまく使えること、予約投稿ができること、データのインポート・エクスポート、並べ替えのしやすさを重視。続いて権限管理やスタイル周辺の機能もあることが望ましい。
こうした要件や希望があるなかで、移行先の候補として挙がったのがSaaS、WordPressホスティング、OSS、外注などだ。最終的にはStoryblokというヘッドレスCMSのSaaSを選択することにした。
Storyblokはビジュアルエディターを備えており、フォーム(編集画面)で変更内容を保存すると、リアルタイムでプレビューができる。また各言語に対応したSDKがあり、コンテンツのバージョニングも可能であることなどがメリットとなる。
ここまでがチームにおけるCMS選定や技術検証となるが、後にCTOとロードマップなどの相談(隔週)、同時並行に関連する部署に要望をヒアリング(都度)を繰り返した。問題なさそうだと見えてきたら、社長にコスト面・工数とメリット・デメリットを提示して導入の許可を得た。そこから本格的に実導入に向けた実装を開始し、導入時には関連部署への説明やサポートなども行った。