DevRel本はどのようにして生まれたのか?
──2019年にこの書籍を企画・執筆された背景を教えてもらえますか?
戸倉さん: 当時、connpassなどを通じてエンジニア向けイベントは活発化していましたが、「DevRel」という言葉や手法は一部でしか知られていませんでした。「好きな人たちが集まっているだけでは?」「本当にビジネスの収益につながるの?」と問われることも多く、企業が開発者と継続的な関係を築くための具体的な方法論を体系的に伝えたいと考え、小島さんと中津川さんにお声がけしたのがきっかけです。

小島さん:私はマーケティングの視点から、企業と開発者がコミュニティを通じていかにして良好な関係を築くべきかについて執筆しました。当時運営していたコミュニティ「CMC_Meetup」や、著書『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』で提唱した「ファーストピンをねらえ!」というコンセプトも盛り込んでいます。この内容は、DevRelCon Tokyo 2018でも発表しました(小島さんのセッション動画「ZEN of Community Marketing」)。
中津川さん:私は技術書典でDevRelに関する書籍を執筆し、技術の泉という技術同人誌の商業化プラットフォームで出版した経験はありましたが、商業書籍として網羅的な内容にするには一人では難しいと感じていたので、お声がけいただき嬉しかったです。
小島さん:「コード」「コミュニティ」「コンテンツ」の3つの「C」を軸にするアイデアは、たしか中津川さんからご提案でしたね。
中津川さん:はい。これは当時SendGridに在籍していたBrandon Williams氏が2016年に提唱したフレームワークで、非常に完成度が高いと感じていました。