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AIエージェント開発の最前線!現場で使える開発術

AIエージェント開発の本質は『属人化業務との戦い』。トップエンジニアが明かす泥臭い現場のリアル

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 「AIエージェント元年」といわれる今、その可能性と事業化に関心を抱いているITエンジニアも多いはず。しかし技術の進化が著しい現代では、AI開発に頭を悩ませている人も少なくありません。そこで今回は、AIエージェント事業の最前線で活躍している4名のエンジニアに、AIエージェントの定義や実践的な設計・開発のポイント、今抑えるべき技術などについてお話をうかがった。

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太田さん

太田 真人

Sakana AI株式会社 Applied Research Engineer

 金融や防衛業界を対象に、AIエージェントの業務活用に取り組む。前職の株式会社電通総研では、AIの技術調査やPoCを主導。対外的にもAIエージェントに関する最新情報の発信をしている。

Xアカウント:@ottamm_190

宮脇さん

宮脇 峻平

株式会社Algomatic AI/MLエンジニア

 採用を支援するAIエージェント「リクルタAI 」の開発に従事。2019年より自然言語処理に取り組み、現在は学術研究員として東北大学大学院に所属。雑談対話応答や質問応答タスクのコンペティションにも参加。

Xアカウント:@catshun_

西見さん

西見 公宏

株式会社ジェネラティブエージェンツ

 24年3月にAIエージェントの開発・利活用を専門に扱うジェネラティブエージェンツを創業。法人のお客様を対象に、AIエージェントの利活用、および開発支援を行っている。2023年にAIエージェント解説書「その仕事、AIエージェントがやっておきました。」(技術評論社)、24年に「LangChainとLangGraphによるRAG・AIエージェント[実践]入門」(技術評論社)を上梓。

Xアカウント:@mah_lab

阿田木さん

阿田木 勇八

株式会社電通総研 AIエンジニア

 大学卒業後、大手医療機器メーカーに入社。その後、AIソリューションの提供側に興味をもち、2021年に電通総研に入社。機械学習を用いた製品開発、さまざまなAIモデル開発・改善案件に従事。最近は生成AIを中心に携わっており、23年よりエージェントの研究開発に取り組んでいる。

Xアカウント:@eightOJ1

自律的にタスクをこなす「AIエージェント」の本質とは?

──AIエージェントとはそもそもどのようなものなのでしょうか。成功している活用事例があれば教えてください。

太田:AIエージェントとは、何か一つの目標に向けて環境と相互作用しながらタスクを自律的にこなしてくれる知能システムです。

 『目標』は人が与えるものもあれば、エージェント自身が考えるものもあります。また『環境』とは僕たちが住んでいる物理的な世界だけではなく、ソフトウェアの世界も含まれます。それらの環境と相互作用しながら、ドキュメントを理解してプロセスのあるタスクを自律的にこなしていく。それがAIエージェントの根幹だと思います。

ビジネスで活かす生成AIエージェント 〜業務利用を目指して今を俯瞰的に理解しよう〜 (2025)

AIエージェントの仕組み

【引用】ビジネスで活かす生成AIエージェント 〜業務利用を目指して今を俯瞰的に理解しよう〜 (2025)

 では、今話題のChatGPTとは何が違うか。ChatGPTはChat(チャット=会話)という言葉からも分かるとおり、対話に重きを置いたAIサービスです。それに対してAIエージェントは対話を通り越して、何らかのタスクを実行するところが違いといえます。

西見:そうですね。現在のAIエージェントは、LLM(大規模言語モデル)を知能として状況判断し、目標に対して、計画を立て、ツールを選択し、タスクを遂行していきます。

阿田木:では、今なぜAIエージェントに注目が集まるのかというと、企業が抱える人材不足の解消や属人的業務の効率化という課題が背景にあります。RAG(検索拡張生成)という仕組みによって、生成AIの知識獲得が容易になり、回答精度も向上しました。そこで、企業はエージェントに専門家や企業独自の知識を組み込み、タスクをこなしたいという期待感があるのだと思います。

 既に活用事例としてあるのは、ヘルプデスクのチャットボットサービスです。AIエージェントを活用すれば、自動で知識を獲得し、知識を修正していくこともできるので、従来のRAGよりも精度の高い回答ができるようになります。

 また、ドキュメントレビューでもAIエージェントを活用する企業も増えています。一般的な誤字脱字の確認はChatGPTでもできますが、RAGと組み合わせることで、各社固有のルールにも対応するなど、より品質向上を図ることができるからです。

日経電子版 x AIエージェントの可能性とAgentic RAGによって提案書生成を行う技術 (2025)

AIエージェントを活用したRAG

【引用】日経電子版 x AIエージェントの可能性とAgentic RAGによって提案書生成を行う技術 (2025)

次のページ
不確実なAIエージェント開発を前に進める「2つの勘所」

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小玉 莉子(編集部)(コダマ リコ)

 2022年に新卒で翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。 公立はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/22101 2025/09/11 11:00

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