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【C++の新機能を理解する】最新バージョンを徹底解説!

C++の新機能を理解する――列挙型と状態チェック関連の機能強化

【C++の新機能を理解する】最新バージョンを徹底解説! 第4回

列挙型関連の強化

 C++ 23では、列挙型がスコープを持つものか調べるstd::is_scoped_enum<T>型特性、列挙型の値を基底型に変換するstd::to_underlying関数を使えるようになりました。

 列挙型とは、関連のある値の集合を意味のある名前(列挙子)で表す構文です。

 例えば信号機の現在の色を1、2、3というリテラルではなく、RED、GREEN、BLUEといった名前で表します。リテラルでは値を見ただけではその意味までは分かりませんが、名前を与えることで意味が分かりやすくなり可読性が向上します。

リスト enum.cpp
enum COLOR {	// RED, GREEN, BLUEという列挙子を持つ列挙型COLOR
  RED,
  GREEN,
  BLUE
};
auto color = RED;	// colorの値はRED

 これは、伝統的なC言語の列挙型です。この列挙型は以下の定義を続けることはできません。RED、GREEN、BLUEが重複するというコンパイルエラーになります。列挙型がCOLOR、RANGERという違いがあっても同様です。

リスト enum.cpp
enum RANGER {	// RED, GREEN, BLUE, PINK, YELLOWという列挙子を持つ列挙型RANGER
  RED,	// COLORと重複する
  GREEN,	// COLORと重複する
  BLUE,	// COLORと重複する
  PINK,
  YELLOW
};
auto ranger = RED;

スコープを持つ列挙型[C++ 11]

 このような問題は、従来の列挙型がスコープを持たないことに起因します。そこで、スコープを持つ列挙型が、C++ 11から利用可能になりました。スコープを持つ列挙型では、上記の列挙型を問題なく定義できます。

リスト enum.cpp
enum class SCOPED_COLOR: long {	(1)
  RED,
  GREEN,
  BLUE
};
auto scoped_color = SCOPED_COLOR::RED;	(2)
enum struct SCOPED_RANGER {	(3)
  RED,
  GREEN,
  BLUE,
  PINK,
  YELLOW
};
auto scoped_ranger = SCOPED_RANGER::RED;	(4)

 スコープを持つ列挙型は、(1)(3)のようにenum classあるいはenum structで定義します(全く同じ機能です)。そして(2)(4)のように、列挙子は「列挙型名::」を前置して参照します。

 なお(1)では、列挙型名のあとにコロンが続いてlong型が記述されていますが、これは「基底型」でいわば列挙子の内部型です。この場合はlong型であり、その値範囲の列挙子が指定できますが、(3)のように基底型を指定しない場合の既定はint型となります。

 また、スコープを持つ列挙型における列挙子は整数型への暗黙の変換を持たないので、coutなどで出力するにはstatic_cast<T>演算子で整数型などにキャストします。

リスト enum.cpp
cout << static_cast<int>(SCOPED_COLOR::RED) << ", " 
  << static_cast<int>(SCOPED_COLOR::GREEN) << ", " 
  << static_cast<int>(SCOPED_COLOR::BLUE) << endl;	// 0, 1, 2
cout << static_cast<int>(SCOPED_RANGER::RED) << ", " 
  << static_cast<int>(SCOPED_RANGER::GREEN) << ", " 
  << static_cast<int>(SCOPED_RANGER::BLUE) << ", " 
  << static_cast<int>(SCOPED_RANGER::PINK) << ", " 
  << static_cast<int>(SCOPED_RANGER::YELLOW) << endl;	// 0, 1, 2, 3, 4

列挙型がスコープを持つか判定するstd::is_scoped_enum<T>型特性[C++ 23]

 C++ 23では、列挙型がスコープを持つか判定するis_scoped_enum<T>型特性を利用できるようになりました。

 型特性とは、型の特性を判定、操作するためのクラスのことです。関数のように使うことができることから、メタ関数とも呼ばれます。is_scoped_enum<T>型特性を使うと、従来の列挙型とスコープを持つ列挙型で処理を分けることが可能になります。

リスト enum.cpp
#include <type_traits>
…略…
cout << is_scoped_enum<COLOR>() << endl;	// 0
cout << is_scoped_enum<SCOPED_COLOR>() << endl;	// 1
+++/スクリプト+++
列挙型の基底型に変換するstd::to_underlying関数[C++ 23]

 スコープを持つ列挙型は、基底型で内部的な値の型を指定することができました。とすると、static_cast<T>演算子を使った型変換は、基底型に基づいて行う必要があるということです。

 先ほどのリストではintを指定していましたが、SCOPED_COLOR型に関してはlongとすべきです。しかし、いちいち調べて同じ型を指定するのも面倒ですし、変更されたとしたらそれを反映させなければなりません。

 そこで、列挙型の基底型を表すメンバ型として、C++ 17でunderlying_type<T>::typeが利用できます。このメンバ型を使うと、実際の基底型で安全に型変換を行うことができます。

リスト enum.cpp
#include <type_traits>
…略…
cout << static_cast<underlying_type<SCOPED_RANGER>::type>(SCOPED_RANGER::RED) 
  << endl;	// 0

 しかしこの記述は冗長で、できれば直接基底型でキャストしたいところです。そこで、基底型でキャストする関数として、C++ 23でto_underlyingが利用できるようになりました。この関数を使うと、シンプルに基底型に型変換できます。

リスト enum.cpp
#include <utility>
…略…
cout << to_underlying(SCOPED_RANGER::RED) << endl;	// 0

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状態チェック関連の強化

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 山内 直(WINGSプロジェクト ヤマウチ ナオ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。 2026年時点での登録メンバは約50名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。出版社を経てフリーランスとして独立。ライター、エディター、デベロッパー、講師業に従事。屋号は「たまデジ。」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるLaravel実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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