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Developers Summit 2026 セッションレポート

30年分の失敗から学べ! メーカーの元ソフトウェアリーダーが語る、良いチームの条件とリーダーに必要な素質

【20-D-1】俺の失敗を乗り越えろ!メーカーの開発現場での失敗談と乗り越え方 ~ゆるゆるチームリーダー編~

「なぜやるのか」が伝わらない指示が、チームメンバーを単なる「駒」に変える

 役割と権限委譲の失敗は、より根本的な部分に起因する。出石氏が「なんちゃって権限委譲」と呼ぶのは、仕事を与えているつもりが実態は作業指示に過ぎず、目的も裁量も与えられていない「駒」になっている状態のことだ。

 「仕事だけ与えられて責任を取らされる。仕事だけ与えられて時間がない。『金曜日の夕方までにやっておいてね』『いやいや、今日金曜日ですよ!』という話ですよね」と出石氏は苦笑しながら振り返る。また、新人に学習を兼ねて社内ツールを作らせる際も、「これを作ってね」という指示だけを出した結果、何度も作り直しが発生。原因はシンプルで「何のために、なぜ作るのかが伝わっていなかった」からだ。

 出石氏は「ソフトウェア人材は、世の中の課題を解決するための業務をしています。ソフトはその手段に過ぎません。それを伝えずに作業指示だけしていては、必要なものは出来上がりません」と語る。さらには目的を告げず作業だけを指示し続けると、「キャリア成長が望めない」「仕事の内容とミスマッチ」といった理由でZ世代のエンジニアが辞めていく事態につながるとも指摘した。

 「作業を与えるのではなく、きちんと目的のある目標を設定し、そのために必要な支援を行い、メンバーそれぞれの役割に応じた権限委譲をする。当たり前のことですが、私はそれができていませんでいた」と出石氏は率直に認めた。

作業を与えるのではなく、メンバーが自由に動けるために必要なものを渡す
作業を与えるのではなく、メンバーが自由に動けるために必要なものを渡す

リーダー自身が先にダメになる!? 心理的安全性の意外な育て方

 心理的安全性の確保について、出石氏は「リーダーの性格や会社の雰囲気次第なので正解はないですが」と前置きしつつ、自身がやってきた方法を紹介した。

 まず進捗会議では自分が一番遅れているため、「ごめん。俺、今週自分の作業がまったく進んでないんだ」と先に話してからメンバーの話を聞く。すると「ダメですね先輩」といった雑談になり、「最近他部署からの依頼も多いよね」と話が転がっていく。リーダーが自分の遅れを話すことで、メンバーの遅れている本当の理由(他部署からの依頼増加)が見えてくるという。自分が先に「ダメになる」ことで、メンバーが報告しやすい空気が生まれるのだ。

 もうひとつの取り組みが、毎週金曜日の「おやつ会」だ。「自分が食べたいおやつを持って食堂で食べているだけなんですが、通りかかる人をとにかく捕まえておやつを食べさせていました」と出石氏は笑う。コロナ禍に入社してリモート勤務だった社員たちが「初めまして」と自己紹介し合い、業務上の課題解決につながる情報交換が生まれることもあった。「人間、『ここでは生きていける』と感じることが大事。食べ物をもらえるということは、『ここでは殺されない』ことを意味します」という出石氏の言葉には、心理的安全性の本質が凝縮されている。以前にあったタバコ部屋のような感覚を、おやつ会で再現した形だ。

リスクをとっても大丈夫という、心理的安全性のあるチーム
リスクをとっても大丈夫という、心理的安全性のあるチーム

 この「リーダーが先にダメになる」姿勢と「おやつでつながる」仕掛けが照らし出しているのは、チームが機能する条件とはリーダーの肩書や手法ではなく、人と人との関係性にあるという事実を示している。

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ソフトウェアの品質は、コミュニケーションの質で決まる

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

CodeZine編集部所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

関口 達朗(セキグチ タツロウ)

フリーカメラマン 1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。

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