はじめに
本連載では、PHP上で動作するアプリケーションフレームワークであるZend Frameworkについて紹介していきます。今回はZend_Controllerの最新機能を紹介したいと思います。以前Zend_Controllerを扱ったときからおおよそ2年半経過し、その間にZend Frameworkのバージョンも1.0から1.10にまでなりました。
この間にZend_Controllerコンポーネント内でもいくつかの変更がありました。具体的にはルーティングとアクションヘルパーについて、追加された機能や変更された機能があります。今回はこれらのうち、ルーティングへの変更を取り上げます。
対象読者
PHPの基本構文については一通り理解している方を対象としています。また、過去の記事からの差分を中心に扱っているため、必要に応じて過去の記事を参照してください。
必要な環境
Zend FrameworkはPHP 5.2.4以降とWebサーバがインストールされている環境で利用可能です。本稿ではWebサーバとしてApache 2.2を、OSにWindows XPを採用し、アプリケーションを作成していきます。
以下に、今回アプリケーション作成/動作確認に用いた環境を示します(インストールにあたっては最新安定版の使用を推奨します)。各項目の詳細なインストール手順は、「サーバサイド技術の学び舎 - WINGS」より「サーバサイド環境構築設定手順」を参照ください。
- Windows XP SP3
- PHP 5.3.3
- Apache 2.2.17
LinuxやFreeBSDなどUNIX系OSをお使いの方もコマンドはほぼ一緒なので、パスなどは適宜読み替えてください。
ルーティングの型
ルーティングとは、以前の記事でも説明したとおり「送られてきたリクエストURIの解析を行う」処理です。フロントコントローラーで行われる処理で、どのアクションコントローラーのどのアクションに処理をディスパッチするか決定します。
Zend Frameworkのバージョン1.0の頃から、ルーティングをどのように行うかを指定するためのルーティングの型には、標準のものを含め3種類ありました。これが現在の1.10では2種類増えています。これらを表にすると、次のようになります(クラス名の先頭の「Zend_Controller_Router_」は省略してあります)。
分類 | ルーティングの型 | 説明 |
従来からあったもの | Route | 標準的な方法でルーティングを指定 |
Route_Static | 静的な要素のみのルーティングを指定 | |
Route_Regex | 正規表現でルーティングを指定 | |
追加されたもの | Route_Hostname | ホスト名でルーティングを指定 |
Route_Chain | 複数のルーティングを連鎖させる |
ここで、追加となった「Route_Hostname」と「Route_Chain」の変更点について紹介します。また、標準のルートもZend_Translateコンポーネントと組み合わせることができるようになったので、この点についても説明します。