Visual Studio 11 betaを使ったライブコーディング
大場氏は、Metroスタイルアプリケーションの開発環境が、開発者にとって非常にやさしいものにできあがっていることを強調する。その重要な要素として、同氏は「優れたアーキテクチャ」と「使いやすい開発環境」の2つを挙げる。
アーキテクチャの面では、Metroスタイルアプリケーションに独自の実行環境「WinRT」が鍵を握るという。
「WinRTのAPIを活用することで、複数の開発言語やツールの中から好きなものを選び、既存のスキルを生かしながら効率的にMetroスタイルアプリケーションに移行できる。また、プレゼンテーション層とロジック層が明確に分離されるため、デザイナーとプログラマーの分業と連携がとりやすくなる」(大場氏)
また開発環境の面では、Metroスタイルアプリケーションの開発に完全対応したツールとして、現在Visual Studioの次期バージョンである「Visual Studio 11」のβ版が無料で公開されている。本セッションでは、日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリストの高橋忍氏による、Visual Studio 11 betaを使ったMetroスタイルアプリケーション開発のデモが行われた。
デモで実演されたのは、RSSリーダーアプリケーションを一から開発する手順。同氏は画面のテンプレートを選んだ後、WinRT APIを駆使しながらほんのわずかのコーディング作業で、10分もかからずにMetroスタイルのRSSアプリケーションを作り上げてみせた。
さらに高橋氏は、Direct Xを使ったグラフィックアプリケーションを、実際に動かしながらデバッグしていく様子もデモンストレーションした。
「このようにVisual Studio 11では、Metroスタイルアプリケーションのみならず、Direct Xのような既存の技術に関しても、開発者の生産性を大幅に向上させるためのさまざまな機能が盛り込まれている。たとえC++のネイティブコードを使って開発を行う方であっても、あるいは.NETの開発者であっても、さらにはWeb開発者も、Metroスタイルアプリケーションのアーキテクチャと開発環境の下では、すべての開発者が主役になれる」(高橋氏)
パートナー企業による先行開発事例のデモ
同セッションではさらに、マイクロソフトのパートナー企業によるMetroスタイルアプリケーションの先行開発事例として、株式会社ムビチケ(以下、ムビチケ)と楽天株式会社(以下、楽天)の事例が紹介された。ムビチケは、オンラインで映画の前売り券購入と座席予約のサービスを提供する企業。既にWindows Phone向けに、同社のサービスにアクセスするためのMetroスタイルアプリケーションを開発・提供している。
「お客さまに映画を選ぶ楽しさをより実感していただくための手段として、直感的な操作性と開放感のあるUIを備えたMetroの世界がマッチすると考えた」
ステージ上に登壇したムビチケ 代表取締役社長 高木文朗氏は、同社のアプリケーションをWindows PhoneのMetro UI向けに開発した理由をこう説明した。続いて同氏は、これをWindows 8上に移植したサンプルアプリケーションのデモを披露した。このアプリケーションでは、ユーザーが観たい映画を選んでオンライン予約を行えるだけでなく、その予告編の動画まで閲覧できる。
「Windows PhoneアプリのWindows 8上への移植は、非常に短期間のうちに終えることができた。初めてPCの大画面でアプリが動く様を見たときには、その迫力にわれわれ自身もびっくりしてしまった!」(高木氏)
続いて、楽天 取締役 常務執行役員 安武弘晃氏が登壇し、同社のWebサービス「楽天レシピ」のMetroスタイルアプリケーションの紹介を行った。
「楽天レシピのサービスは、タブレット端末からアクセスするユーザーが非常に多い。そのため、Windows 8との親和性が非常に高いと判断し、早くからMetroスタイルへの対応に取り組んでいる」(安武氏)
本セッションでは実際に、Windows 8 Consumer Previewの上で動く楽天レシピアプリのデモが披露された。このアプリケーションは、マイクロソフトの支援を得てわずか1か月間で開発されたという。また楽天市場サイトのMetroスタイル版のデモ、さらには2011年11月に同社が買収した電子書籍企業Kobo社のサービスを、Windows 8上から利用できるMetroスタイルアプリケーションのデモも併せて披露された。
