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Windows Azure Virtual Machineの取り扱い説明書

Windows Azureの仕組みとAzure VMでWindowsを動かす

Windows Azure Virtual Machineの取り扱い説明書(1)

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 2012年の春にリリースされたWindows AzureのIaaS(Infrastracture as a Service)であるWindows Azure Virtual Machineの使用方法と仕組みについて説明します。

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はじめに

 Windows Azure Virtual Machineは、2012 spring release(2012年春のリリース)で、発表されたサービスの一つです。2012 spring releaseでは、AzureでIaaSサービスを提供するVirtual Machine、簡単にすぐにサイトを立ち上げることができるWeb Sites、AzureのNW機能を大幅に拡張するVirtual Networkが発表されました。

 これから複数回にわたって、Windows AzureのIaaSサービスであるWindows Azure Virtual Machineについて見ていきます。Windows Azure Virtual Machineの仕組みと使用方法を説明します。そして、活用例としてSQL ServerやMongoDBを動作させる際のポイント、方法を説明します。

 第1回目は、Windows Azure Virtual Machineの仕様や機能について説明します。

対象読者

  • Windows Azureに興味のある方
  • Windows Serverを使用している方
  • IaaSサービスを検討している方
  • サーバー管理者、開発者

必要な環境

  • WindowsかMac用のリモートデスクトップクライアント
  • Windowsアカウント
  • Windows Azureサブスクリプション

注意事項

 2012年9月時点では、Windows Azure Virtual Machineはプレビュー版として提供されています。プレビュー版では、使用するOSの種類(Windows、Linux)に関係なく同じレートで課金(注1)されます。課金が発生しますが、SLA(Service Level Agreement)およびサポート問い合わせの対象外(注2)となっています。

 Windows Azure Virtual Machineのメンテナンスやアップデートなどで予期せぬ再起動が、2012 Spring Release後も数度発生しています。正式リリースまでは、評価・検証目的でのみ使用し本番サービスでは使用しないことを推奨します。

注1

 SLAの適用対象外であることは、Windows Azureプレビュー機能の使用条件に提示されています。使用条件において「プレビュー機能が Windows Azureに関するいかなるサービス レベル アグリーメントの対象にもならないこと」と記載されています。

注2

Azure VMの概要

 Windows Azureで正式提供されてきたサービスはPaaS(Platform as a Service)と呼ばれるアプリケーションの実行基盤の提供でした。OS、ミドルウェア(.NET Framework)部分をマイクロソフトが管理と監視をし、ユーザーはアプリケーションに注力する形式でした。ユーザーはOSなどの管理をする手間が省ける反面、OSやフレームワークを自由にカスタマイズする自由が制限されていました。

 そこで、OSやミドルウェアをPaaSサービスに比べて自由に触ることができるIaaS(Infrastructure as a Service)として、Windows Azure VMロールがプレビュー版として提供されることになりました。Windows Azure VMロール(注3)は、ローカルのHyper-V上で作成した仮想イメージをWindows Azure上にアップデートして利用するサービスですが、データ領域が永続化されない、イメージを自分でアップロードしなければならないなどの制限が多く、使い勝手があまり良くないサービスでした。

 2012 Spring Releaseで発表されたWindows Azure Virtual Machineは、Windows Azure VMロールとはまったく別のサービスとして提供されています。

 Windows Azure Virtual Machineは、VHD(Virtual Hard Disk)を使用した仮想マシンのホスティング環境と表現できるサービスです。オンプレミスのHyper-V上のVHDと互換性があり、必要に応じてオンプレミスとクラウド間を行き来できます。Hyper-V上で使用していたVHDをWindows AzureストレージのBlobにアップロードすれば、Windows Azure Virtual Machineで使用できます。逆にWindows Azure Virtual Machineで使用していたVHDをダウンロードすれば、Hyper-V上で使用することができます(図1)。

図1 オンプレミスとクラウド間を自由に移動可能(注4
図1 オンプレミスとクラウド間を自由に移動可能(注4)

 WebロールやWorkerロールでは、ホストのコンポーネントの更新やハードウェアの故障時にもアプリケーションが動作するために最低でも2つのインスタンスを使用していれば、稼働率99.95%のSLA(Service Level Agreement)が提示されます。Windows Azure Virtual Machineでは、リリースに合わせ新しいSLAが用意されます。単一インスタンスで99.9%の稼働率のSLAが提示され、アベイラビリティ・セット(注5)を使用して2つ以上インスタンスを使用すれば99.95%の稼働率のSLAが提示される予定です。

注3

 Windows Azure VMロールの詳細については、「Windows Azure 第3のロール VMロール編」を参照。

注4

 Microsoft Architect EvangelistのClint氏(@clinted)のプレゼン資料を日本語に置き換えて使用させていただいている。

注5

 アベイラビリティ・セットを使用すると、仮想マシンはデータセンター内で物理的に分かれたラック上に配置され、ホストOSのアップグレード時に、同時にすべてのVMがアップグレードでメンテナンスダウンしないよう管理されます。

次のページ
Azure VMの全体像と仕組みを理解しよう

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 大和屋 貴仁(ヤマトヤ タカヒト)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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