これからは相互作用システムの時代
基調講演は、日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック マハジャン氏のスピーチから始まった。
マハジャン氏は、IBMはこれまでビジネスフィールドに、「技術によるイノベーション」「新しい市場(マーケットメーカー)」「グローバルなベストプラクティス」の3つの価値を提供してきたとする。このことは、メインフレーム、クライアントサーバー、モバイルやクラウドと、プラットフォームの変革を通じて実践されており、さらにビッグデータやIoT(Internet of Things)といった5年前には想像していなかったような世界が広がってきても同様であるとした。IBMでは年間6000億円もの研究開発費を投入しているので「プラットフォームのことはIBMにまかせてほしい」と語った。
続いてファシリテーターの三戸氏が登壇した。
三戸氏は、日本の商業コンピュータの歴史は1955年(野村総研に導入された)から始まるとし、その後メインフレーム、PC、ダウンサイジングと時代は変遷していくが、90年代までの業務システムはトランザクション処理がメインであったとする。その一方でインターネットが本格的な普及を始めた90年代半ばから新しい動きが次々と現れ、現在のモバイル革命、ソーシャル革命へとつながっている。特にモバイルやソーシャルといったトレンドは、人々のコミュニケーションを変えるだけでなく、企業やビジネスのスタイルにも影響を及ぼしている。さらにM2MやIoTといったテクノロジーは、スマートシティやスマートカーなど「モノ」の世界をも巻き込んでいると、現在までの大きな流れを解説した。
このような状況において、業務システムの全体像は、下記の3つの領域に分けることができるという。
- 記録を軸とした基幹システム(Systems of Record:CRM、HR、DB、ERPなど)
- 人と関わりあうシステム(Systems of Engagement:SNSなど)
- モノのインターネット(Internet of Things)
そして、これからの業務システムに求められるものは、3つの領域を相互に作用させるシステム(Systems of Interaction)であるというのが三戸氏の主張だ。