DevOpsはビジネス全体にかかわり差別化にもつながる
続いて講演を行ったのは、IBM Rational Software CSE(Chief Software Economist)であるウォーカー・ロイス氏だ。ロイス氏は、「デリバリーの分析」として、リリースまでのスケジュールの考え方や精度の向上のため、従来型の開発プロセスとアジャイル開発のアプローチの違いを示し、DevOpsの価値を示すものだった。
ロイス氏は、ソフトウェアデリバリという考え方は今やビジネス全体にかかわるものであり、企業の差別化要因ともなっているが、そのキーテクノロジーは、ビッグデータ、クラウド、モバイル、ソーシャルの4つであると述べる。これらのテクノロジーは何か、何ができるのか。ビッグデータは、日常生活をスマートかつインテリジェンスなものにする要素であり、実際のサービスや機能はクラウドで提供される。また、モバイルはこれらの体験をユビキタスなものとしてくれる。人や組織とのつながりはソーシャルが担っている。
そして、ビッグデータやクラウドなど4つのテクノロジーを活用したビジネスを効果的に実現するのがDevOpsだという。新しいビジネスでは、サイクルタイムが短くなり、スピードが要求される。ビジネスやシステムもリーンなもの(必要最小限なもの)から考えることが重要となる。従来型の開発プロセスでは、個々の作業やプロセスは分断されている。そして、開発側にはスピードや創造性が求められるが、運用側は安定性や厳格な手順が要求され、双方のベクトルも異なっている。
そのためDevOpsによって、双方の距離を縮め、共通のプラットフォーム、共通のプロセスルールでカバーできる範囲を多くすることが求められる。共通化された部分は、オーバーヘッドや冗長部分を減らす効果があり、自動化も可能である。継続的なデプロイに欠かせない要素でもある。
古い開発モデルが失敗するわけ
ここでロイス氏はたとえ話で解説を続ける。ある開発プロジェクトにおいて、ビジネスニーズから12か月の開発期間が与えられ、11か月で可能だとするプランを作成したとする。プロジェクトマネージャは、詳細プランを立てさせ、要求仕様を明確にし、スケジュールのマイルストーンを設定させる。しかし、この手のプロジェクトは往々にして統合テストの段階で手戻りの発生や計画変更を余儀なくされる。これは、ターゲットありきの考え方で、物事を確定的にとらえているから起こる問題だという。
新しい開発モデルでは、要求やプランについて洞察力を発揮し、さまざまな要件を変数として考える。そのため、例えば、11か月というプランの実現可能性は50%前後であると判断する。経営者に納期を守るためには、納期を伸ばすか機能や品質を変更する必要があるが、通常、これを認める経営判断は期待できない。
そこで、スマートなプロジェクトマネージャは、プロジェクトの不確実性な要素を極力減らすことを考え、重要なコア機能に高い優先度つけスコープごとの開発を行い、段階的に機能リリースを続けゴールを目指す。いわゆるアジャイル開発の考え方だ。
ロイス氏は、アジャイル開発におけるリーンな開発スタイルと共通プラットフォームによるDevOpsは、企業全体の活動に広げるべきだとまとめた。




