Storage Gatewayとは
Storage GatewayはAWSが提供する、オンプレミスのサービスと密接に連携したバックアップ・ストレージサービスの一つです。オンプレミスにあるファイルサーバなどのストレージとAmazon S3の大容量ストレージを密接に連携させ、堅牢かつ可用性の高いストレージを構築することが可能になります。
Storage Gatewayが提供する機能
2014年5月の段階で、3種類のソリューションが提供されています。
- ゲートウェイ保管型ボリューム(Gateway Stored Volume)
- ゲートウェイキャッシュ型ボリューム(Gateway Cached Volume)
- 仮想テープライブラリ(Virtual Tape Library, VTL)
本連載では、ゲートウェイ保管型ボリュームと、ゲートウェイキャッシュ型ボリュームについて取り扱います。なお、仮想テープライブラリについて知りたい方は、弊社のブログをご覧ください。
ゲートウェイ保管型ボリュームでは、新規にアップロードされたデータをローカルのディスクに保存した上で、非同期的にAWSへとバックアップを行います。すべてのデータがローカルに保存されているため、クライアントからは高速にデータにアクセスすることができます。
オンプレミスにデータを保管した上で、バックアップやディザスタリカバリを目的としてStorage Gatewayを利用することができます。
一方、ゲートウェイキャッシュ型ボリュームでは、全てのデータがローカルに保存されているわけではありません。データは仮想アプライアンス経由でAmazon S3へと保存されますが、その際に仮想アプライアンスにマウントされているCache Volumeに一時的に保存されます。勘の鋭い方はお気づきかと思いますが、データへのアクセスが発生した際、Volume GatewayはまずCache Volumeを参照します。Cache Volumeにデータが存在しなかった場合のみ、Amazon S3へリクエストを行って対象のファイルを取得してきます。
ゲートウェイキャッシュ型のメリットは、ローカルに用意するディスクの容量を最小限に抑えられる点にあります。保存領域が不足した場合には、AWSの管理コンソール上から領域を追加をすることで、最大150TBの保存領域を確保できます。とはいえ、オンプレミス環境に150TBのディスクを用意する必要はありません。オンプレミス環境には、Cache StorageとUpload Bufferの分の領域があれば十分です。
アップロード時には、仮想アプライアンスにマウントされたUpload Bufferと呼ばれるストレージ領域に一時的にデータが保存されます。Upload Bufferへのアップロードが完了した後、Amazon S3へデータが最終的に保管されます。つまり、ファイルのアップロードを行うユーザーから見ると、Upload BufferへのアップロードとAmazon S3へのアップロードは非同期的に行われていることになります。
Storage Gatewayの仕組み
Storage Gatewayを使用したシステムのイメージは次の通りです。背景が紫色の部分が、Storage Gatewayが提供する機能です。
VTLを除くボリューム型のStorage Gatewayでは、Storage GatewayはiSCSIターゲットとして動作します。Storage Gatewayを利用するクライアント(例:ファイルサーバ)は、Storage GatewayをiSCSIターゲットとしてマウントして利用します。Storage Gatewayを動作させるためにはディスクが2つ必要で、そのディスクに保管されたデータはAmazon S3と連携して保存・バックアップ・削除されます。
Storage Gatewayを動作させるには、仮想アプライアンスが必要です。動作させるハイパーバイザとして、VMWare ESXiかMicrosoft Hyper-V 2008 R2が必要となっており、仮想アプライアンスのイメージはAWSから提供されています。
仮想アプライアンスは、次の要件が必須となっています。
専有CPU | 専有メモリ | ストレージ |
---|---|---|
4コア | 8GB | 75GB |
また、Amazon EC2上で仮想アプライアンスを動作させることもできます。この場合、AWS Marketplaceで販売されているStorage GatewayのAMIを購入し、それ経由でアプライアンスを起動することになります。ただし、Amazon EC2に仮想アプライアンスを構築する場合には、利用できるサービスがゲートウェイキャッシュ型ボリュームに制限されるので注意してください。