Storage Gatewayの課金形態
Storage Gatewayを利用するための料金には、大きく分けて2通りあります。一つは、仮想アプライアンスをActivateさせたときに発生する料金です。この料金は、仮想アプライアンスを、ESXiなどのオンプレミスのハイパーバイザで起動しても課金されるので注意してください。本稿執筆時点(2014年5月現在)の東京リージョンの料金は、Activateされた仮想インスタンスごとに119米ドル/月となっています。仮想アプライアンスをEC2上で起動した場合は、この仮想ゲートウェイ料金に加えてAmazon EC2の実行料金も発生します。
もう一つは、Storage Gatewayが利用するストレージに対しての料金です。本稿執筆時点(2014年5月現在)では、保存されたデータ1GiBに対して0.033米ドルの料金が発生します。また、データのスナップショットを取得した場合、スナップショット対象のデータ1GiBに対して0.095米ドルが課金されます。詳細はAWS公式の料金サイトを参照してください。
ここでも注意があります。Storage Gatewayのスナップショットは、内部的にはAmazon EBSスナップショットとしてAmazon S3に格納されます。Amazon EBSスナップショットはAmazon S3に保存される際に圧縮され、空のディスク部分は保存されないようになっています。例えば、Storage Gatewayで1TBのボリュームを作成してスナップショットを取得しても、1TBのスナップショットが作成されるわけではなく、実際にはもっと小さなサイズになってAmazon S3に保管されます。スナップショット保存量の見積もりを行う際には、この点に注意が必要です。
Storage Gateway導入時に検討すべきこと
ここまでStorage Gatewayの概要について説明してきました。次に、Storage Gatewayの導入を検討する段階に入ったらまず決めること、検討すべきことを3つ挙げてみます。
1. データへのアクセス速度について
ゲートウェイ保管型とゲートウェイキャッシュ型では、データへのアクセス時の挙動が異なります。ゲートウェイ保管型ではすべてのデータがローカルに保管されているため、全データに高速なアクセスが可能です。一方、ゲートウェイキャッシュ型の場合はCache Volumeの分だけローカルに保管されているため、キャッシュに載っていないデータについてはAmazon S3へ取得しにいくことになります。Storage Gatewayを利用して構築したいソリューション(例えばファイルサーバ)が、どの程度のリクエストを日々処理し、どの程度のスループットが求められているのか、基準となるアクセス速度を定めて評価を行う必要があります。
2. ホスティング先
先述の通り、Storage Gatewayの仮想アプライアンスは、オンプレミスのハイパーバイザかAWS MarketplaceのAMIを利用して構築することになります。ゲートウェイ保管型ボリュームを構築するためにはオンプレミスのハイパーバイザに構築することが必須なので、特に検討する余地はありません。ゲートウェイキャッシュ型ボリュームをAmazon EC2で構築し、ファイルサーバがオンプレミスにある場合には、ネットワークのレイテンシに注意しましょう。AWSの専用線サービスであるDirect Connectを利用して帯域を確保するなど、パフォーマンスを保証するための工夫が必要になります。
3. アプライアンス用のストレージサイズ
仮想アプライアンスにアタッチするストレージのサイズについても検討が必要です。ゲートウェイ保管型ボリュームの場合は、保存する予定のデータ量分のストレージサイズが必要です。一方、ゲートウェイキャッシュ型ボリュームの場合は、全容量のデータを用意する必要はありません。Amazonのドキュメントによると、全データ量の20%のキャッシュ領域が推奨となっています。Storage Gatewayの構築前に必要なディスクサイズの検討を行いましょう。
ここで挙げた検討事項の他にも、バックアップの取得や世代管理など、運用面で検討しなければならないことがあります。運用については本連載の後半にて紹介します。
今回はStorage Gatewayの概要と特徴、利用する前に検討すべき事項について紹介しました。次回は、ゲートウェイキャッシュ型ボリュームを構築する手順を解説する予定です。