開発者の幸せは顧客企業とともに
橋本 ► 倉貫さんの本を読んで一番印象に残ったのは、お客さんが倉貫さんの会社を信頼し、成果に対して喜んでいるように感じたことです。また、今年の夏サミ(7月31日に翔泳社が開催したITイベント)のセッションでは、東京商工リサーチさんのお礼の言葉に雄介さんたちが涙ぐむ場面がありました。このように、お客さんと良い関係が築けることは本当に素敵なことで、こういったことが開発者の幸せにつながっていくのかなと思います。
最後に、現場のエンジニアに向けて何かメッセージをお願いします。
倉貫 ► 開発者の幸せが顧客の成功につながるという話がありましたが、僕は逆にお客さんの成功が開発者の幸せになると思っています。
お客さんの幸せを求めましょう、成功に導きましょうという掛け声がなくても、日々の仕事を一所懸命にこなしていれば、お客さんの成功につながるし、そうすれば会社も継続できて利益が出ます。僕らがビジネスモデルを変えたのは、無理をしないで、お客さんの成功と自社の成功につながるところを1本につなげることが大事だと思ったからです。それも自然にできる一番良いやり方で。
そうは言っても、エンジニアのみなさんにはそれぞれ事情があるでしょう。でも、辛いときには、僕らのところにきてくれたりしないかなあと思います。
鈴木 ► 僕らは、100年続いてきたような会社のビジネスを変える、助けるという道を選んできました。100年続くということは100年間社会に必要とされてきたということです。これはすごいことです。ベンチャーやスタートアップがだめという意味ではなく、100年間信頼され続けてきた企業が今後も100年間信頼され続けるための仕事を手伝うことが、僕らにとって価値があることだと思っています。
社会に必要とされる会社を手伝うことは、自分がどのように社会に関わっているかを考える良いきっかけになります。お客さんには衣食住関連の業種が多いため、身近にあるものに自分がITで関わっていることがすごくおもしろく、またやりがいがあると思っています。
ただ、そういった企業には独自のルール、文化、方法があります。それに従いながら、新しいことをやっていかなければなりません。面倒くさいこともありますが、面倒くさいことをやりながら、お客さんにパートナーとして認めてもらい、お客さんを助けて成長していきたい。グロースエクスパートナーズという社名には、成長するパートナーになっていこうという意味があります。
我々は、社会にITで貢献することを真剣に考えたい。そのためには、社会や組織のルールを理解し、その中でやるべきことをやらないといけません。面倒なこともありますが、それを乗り越えて社会に役立ちたい人に来ていただきたいです。
橋本 ► 倉貫さんの会社も雄介さんの会社も、開発者の幸せにつながることを意識しながら、この業界において新しい試みを進められています。みなさんも、この業界を良くする方向性でちょっとでも動かれると、開発者の幸せを追求できるんじゃないかと思います。
では、お話しいただいたお二人に拍手をして対談を終えたいと思います。ありがとうございました。