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仮想ルータVyatta/VyOSで変わるネットワーク設計

クラウド時代のIPv4アドレス枯渇問題を考える

仮想ルータVyatta/VyOSで変わるネットワーク設計(4)

IPv4アドレス再利用とは?

 IPv4アドレス枯渇問題について最悪のシナリオを想定した場合、「IPv4アドレス移転により需要と供給のバランスが保たれる」という前提条件が崩れ、かつ「IPv4アドレス移転コストよりもIPv4アドレス再利用に必要な機器およびソリューションが低価格である」という条件が満たされた時に、はじめてIPv4アドレス再利用という考え方が出てきます(本当に最悪のシナリオですね ;-( )。

 つぎに問題となるのが「誰がIPv4アドレス再利用をするか?」です。図4は国内におけるデータセンター事業者数を示したものです(参考:「株式会社ミック経済研究所 データセンター事業者のファシリティと売上動向 2013」より抜粋)。 これらすべての事業者がIPv4アドレス再利用という設計手法を取り入れるとは思えませんが、仮置きする母数にはなるかと思います。

 つまり、仮に5%のデータセンター事業者がIPv4アドレス再利用という設計手法を取り入れたとしても15社程度に必要となる機器やソリューションということになります。これが何を意味するかをお分かりいただけた古くからのシステムエンジニアの方、ご想像のとおりです。

図4. 国内におけるデータセンター事業者数 (合計 313社)
図4. 国内におけるデータセンター事業者数 (合計 313社)

 続いて、IPv4アドレス空間をパブリッククラウドの観点から資源として分析してみましょう。

 図5はパブリッククラウドにおけるIPv4アドレスとポート番号における未使用空間を示したものです。すべてではありませんが、グローバル環境ではポート80番や特定ポート番号のみに偏って使用されていることがお分かりいただけるかと思います(クラウド上の仮想マシンから通信する時には、これらポート番号も、動的に一時利用されるポート(Ephemeral Port)としてしっかりと活用されてはいるのですが……)。

図5. IPv4アドレスとポート番号における未使用空間
図5. IPv4アドレスとポート番号における未使用空間

 これらIPv4アドレスとポート番号における未使用空間の再利用について、少し観点は変わりますが現在運用されているネットワーク設計例をみてみましょう。図6はSalesforce社のPaaSであるHerokuにおけるHTTPルーティングの利用例です。

 グローバルIPv4アドレス空間からのアクセスを、HTTPを理解するアプリケーションゲートウェイを介して、プライベートIPv4アドレス空間のインスタンスへ振り分けていることが分かります。

図6.HerokuにおけるHTTPルーティングの利用例
図6.HerokuにおけるHTTPルーティングの利用例

 詳細はHerokuのみぞ知るといったところですが、インスタンス上で動作するアプリケーションログから仕組みの一部と思わしきところがみえます(図7)。

図7. HerokuにおけるHTTPルーティング処理とその推定
図7. HerokuにおけるHTTPルーティング処理とその推定

 つづいて、考えられるIPv4アドレス再利用の方式について考察していきましょう。

次のページ
IPv4アドレス再利用の方式

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この記事の著者

松本 直人(マツモト ナオト)

1996年より特別第二種通信事業者のエンジニアとしてインターネット網整備に従事。その後システム・コンサルタント,ビジネス・コンサルタントを経て2010年より,さくらインターネット株式会社 / さくらインターネット 研究所 上級研究員。(2016年より一時退任)研究テーマはネットワーク仮想化など。3~5年先に必要とされる技術研究に取り組み、世の中に情報共有することを活動基本としている。著書: 『モノのインターネットのコトハジメ』,『角川インターネット講座 ~ビッグデータを開拓せよ~』など多数。情報処理学会 インターネットと運用技術研究会 幹事

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