では、さっそく前回の『いまさら聞けないモバイルとIPv6ネットワークのアレコレ(前編)』の続きをみていきましょう。
iPhone(iOS)からIPv6でSSHしてみる
前回、「さくらのVPS」に投入したVyatta/VyOSへ、ネイティブなIPv6通信環境の設定投入を行いました(図1)。
これで、いつでもどこからでもネイティブIPv6通信環境を経由して仮想サーバへアクセス可能になります。
では、さっそくiPhone(iOS)からSSH接続してみましょう。今回はSSHクライアントとして、ServerAuditorを使いました(図2)。ログインアカウントやssh key事前設定などは各自で行ってください。
動作画面は、図3のようになります。今まで通り変わらない使い勝手となっています。
さて、少しネイティブIPv6通信環境について考えてみましょう。今回利用している「KDDI au LTE NET for DATA」によるIPv4/IPv6通信環境とiPhone(iOS 8.1)では、3G/4Gの切替や基地局変更などに起因するIPアドレスの変化が確認できます(図4)。お気づきになっていない方が多いかもしれませんが、現在私たちが使っている携帯電話網におけるIPv4ネットワークでも、実はこのようなことが起こっているのです。
図4からもお分かりいただけるかと思いますが、疑似的に3G/4Gの切替や、つなぎ直しを起こすため、機内モードのOn/OffをiPhone(iOS8.1)上で何度か繰り返すと、付与されるIPv6アドレスは規則性のないものに変化していることが分かります(※IPv6アドレスの上位/64ビットでは規則性はありますが)。
筆者も古い部類に入る人間なので、新しいシステムエンジニアの方がどこまでIPv6ネットワークの理解が深まっているか、とても悩ましいところではありますが、前述の結果を共有するために大文字で書いておきます(図5)。
この中編の後の後編でお話する予定ですが、実はこのIPv6アドレス決定メカニズムはOS環境やネットワーク環境に強く依存しています。今回の検証に用いた携帯電話網とiPhone(iOS)の組み合わせでは、このような結果になりましたが、固定網や別のOSの組み合わせではこの限りではありません。
しかしながら、すべてが均一に「IPv6アドレス=固定アドレス」で「End-to-End通信できる」という誤った認識が今もどこかで広まっているならば、ぜひまわりの方に教えてあげてください。