発表2:プロトタイピングの助走と飛躍
2番手で登壇したのは、スタンダード 吉竹 遼氏です。以前からプロトタイピング開発に興味があったという吉竹氏は、自身で勉強会を行うなどの活動をしてきました。プロトタイピング=試行錯誤と捉える吉竹氏は、「勇気を持って試行錯誤しよう」と提案します。
「多くのデザイナーはシャイで、ある程度のクオリティになっていないと人に見せられません。でも、ある程度の段階で人に見せるべきです。そして、意見によってはデザインを捨てる、仮説がある場合にはそれを通すといった試行錯誤を行う勇気が必要だと思います」(吉竹氏)
こういった心構えは「助走」であるとした吉竹氏は、続けて「飛躍」するためのプロトタイピングについて、次のように語りました。
「私たちがデザインしているものは、端的に言うと物語や体験です。WebやUI、アプリケーションはそれを伝える手段、インターフェイスにすぎません、今後はもっといろいろな伝え方が登場してきて、プロトタイピングも広範囲に及ぶでしょう。そのとき、様々なことを試行錯誤すること、そして人への興味を持ち続けることがますます重要になると思います」(吉竹氏)
発表3:プロトタイピングにおける「階段」
次に登壇したのは、グリーの村越 悟氏。ユーザーテストの仕組み化などを推進してきた村越氏が、次に取り組む課題として選んだのが「プロトタイピング開発」。プロジェクトの進行管理などに長く関わってきた村越氏らしく、セッションはチームビルディング(組織形成)から始まりました。
「チームビルディングは「形成」「混乱」「定着」「成熟」「散会」という5段階を経ると定義したタックマンモデルでは、各段階において3つのズレが生じるとしています」(村越氏)
つまり、形成期には形成期の、混乱期には混乱期のズレが生じるというわけです。
それを回避するには、各段階に適切なツールを取り入れることが大事だと村越氏は言います。例えば、定着期には「要件・認識のズレ」「要件の抜け漏れ」が発生しやすいということで、村越氏はSketchやProttといったプロトタイピングツールを使用しているそうです。
また、「コンテクストを共有できているチームから、いいプロダクトは生まれてくる」(村越氏)と指摘した上で、人の頭の中は非言語的なイメージが大半を占めており、プロトタイプはチームを共通のイメージで結ぶ共通言語のようなものだと説明。危険だというチーム内でイメージのズレを生じさせないために、プロトタイピングで頭の中にあるイメージを具体化することの大切さを訴えました。
チームが共通のイメージを持つことは、認識のズレによる追加実装などを防ぐ意味でも、開発においてとても大事なことだと筆者も感じています。
発表4:プロトタイピングツールProttができるまで
最後のセッションには、グッドパッチの土屋尚史氏が登壇。Prottというプロダクトが生まれた背景や開発を続けている理由を発表しました。
「2013年です。自社でデザイナーが作ったデザインを実装すると「何かが違う」という現象がによく起きていました。そこで、当時あったプロトタイピングツールを使ってみたのですが、エンジニアが画面の動きを確認できるようになり、開発プロセスが劇的に変わったんです。ただ、そのプロトタイピングツールにも不満な点が出てきて、結局、自社で作ったほうが良いツールになると思ったんです。こうして、Prottの開発が始まりました」(土屋氏)」
筆者も、プロトタイピングツールをUIデザインを専業とする同社が開発するというのは、文脈にも合っている気がします。
「Prottを正式ローンチして4か月経ちますが、お陰様で世界38か国で使われています。開発チームの人数を当初の数倍に増やすなどバンバン投資して、ユーザーに使いやすいものにしています。そして、プロトタイピングという手法を世の中の企業に広めていいプロダクトが生まれる土壌をつくる。それが使命だと思ってProttを開発しています」(土屋氏)
