スタートアップ企業が抱えるジレンマ
図4は、海外カンファレンスでNetflix社が発表したコンピューティング資源利用に関する内容を独自にいくつかのデータを付け加えて解析したものです。Netflix社は自社サービスにパブリッククラウド上の大量な仮想マシン・インスタンスを利用しています(後日の連載で詳細を解説する予定です)。
彼らの発表では、さらに多くのコンピューティング資源を利用するFacebook社について述べられており、パブリッククラウドを利用する場合と、それを超えて自社でプライベートクラウドやデータセンターを構築利用する違いについてインスタンス数とサーバー台数を比較対象として述べられていました(図4)。
あくまで過程や推定が入る彼らなりのデータではありますが、インスタンス数1,000を超えたあたりから、利用か保有かの選択肢が出てくると主張しています。この部分を彼らは「グレーゾーン」と表記しており、筆者はここを「成長のジレンマ」と考えています。
こちらもやや古いデータではありますが、ITmediaの記事によれば、2010年の段階でモバゲーダウンに関する稼働サーバー台数は1,290台程度あり、このことからも彼らの経験に基づく主張に納得感が筆者なりに得られました。
2015年現在、私たちは日本国内においても数多くのパブリッククラウド利用という選択肢が持てるようになってきました。スタートアップ企業におけるパブリッククラウドの利用は、すでに当たり前になりつつあり、先行するNetflix社のように成長に応じたコンピューティング資源活用のジレンマを同じように持っていくことでしょう(図5)。
2桁の仮想マシンやネットワークであれば容易に構築できるものが、1000台近くともなれば、性能評価および安定性を考慮して日々の運用と構築が必須になってきます。当然台数が増えれば、増えるだけコストに関する意識もシステムエンジニアの視点からだけでなく経営的な視点からも変化してきます。
コンピューティング資源を「利用する」か「保有する」かの選択は、どのようなスタートアップ企業であれ、成長が持続する間は必ず迎えるターニングポイントの一つとなるのです。
では、やや視点を変えて、膨大な数のサーバーを管理運用するとは、どのようなことかを紐解いていきましょう。
図6は、USENIX LISA2014で発表された「1万台のコモディティ製品のサーバーが年間で障害に見舞われる割合」について述べられたものです。サーバー、ネットワーク、ストレージに関しても数多くの先行事例と発表から裏付けられたデータを引用しており、これらが組み合わさって提供されるクラウドコンピューティングのようなサービスであれば、なおのこと理解が深まる内容となっています。
懸命な読者の皆さまであればお分かりのとおり、コンピューターは必ず「壊れる」し「停止する」ものなのです。



