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フィギュアの制作も3Dモデリング・3Dプリントの時代へ――デジタル原型師スーパーバイザー(藤縄)×人気絵師ニリツ対談

『デジタル原型師養成講座 プロとして通用するフィギュア作成技法』発売記念

フィギュアの仕様変更に伴うコストはデジタル原型になってから改善された

――本書の読者に「これだけは知っておいてほしい」ことはありますか?

ニリツ 今回の書籍のイラストは、立体フィギュアを前提にして描いているので、それに合わせた考え方で描いています。このように状況に合わせて描く考え方を変えるということが、この本を読めばわかると思います。「こういう形にするために描いた」という、「理由」があるから「こう描いている」ということを感じてもらえればと思います。

藤縄 プロの商業原型師になりたいのであれば、仕事と趣味は切り分けて取り組む必要があると思います。仕事の依頼を受けたからには納期というものがありますし、監修の厳しさに悩まされることもあります。

 しかし、そこは仕事と割り切ってフラットに坦々と仕事をこなし、どうしても作りたいフィギュアがあれば、ワンフェス(ワンダ-フェスティバル)やトレフェス(トレジャーフェスティバル)などのイベントに向けて、趣味のフィギュアを作成して、多くの人に知ってもらってもらえればと思います。

――イラストレーターの方にとってフィギュアの世界はどう映りましたか?

ニリツ イラストレーターの仕事の場合、仕様変更があっても時間をかければ変更できるメリットがあります。一方、デジタル原型の場合。「ちょっと仕様変更をするとコストがかかる」「ちょっと何かを足そうとするとコストがかかる」「原型のクオリティを上げようとして、フィニッシャーの方に塗装を依頼すると、それにもコストがかかる」というように、仕様変更や品質アップにはコストがかかるという印象を受けました。イラストレーターの場合は、仕様変更や品質アップの場合、時間さえあればコントロールできます。

藤縄 そうした面はデジタル原型になってから改善されてきています。アナログ原型の時代であれは、原型の仕上がりを監修する人が原型についてあまり詳しくない場合、絵の修正を入れる感覚で修正指示を送られてきて、原型の修正に1~3週間かかる場合がありました。

 一方、デジタル原型の場合であれば、3時間くらいで済むようになってきました(修正指示の程度によりますが……)。そうした「修正のしやすさ」のメリットや効率化もあり、近年ではデジタル原型が主流になってきています。私の知っている範囲では、8割くらいのメーカーさんがアナログからデジタルに移行してきていますね。

ニリツ 私の知っている範囲となりますが、イラストレーターの世界では、納品の最終形態は、ほぼ100%デジタルですね。

 実際、クライアントの方から「アナログで絵をお願いします」と言われても、画材選びから迷いますね。私はデッサンから学んでいるので、アナログのお仕事も受けることは可能ですが、デジタルと同じ雰囲気で描けるかと言うと難しい面があります。

3Dプリンター出力はもっと身近に

――家庭用3Dプリンターで原型を作成する方が増えているようですが……

藤縄 テスト出力が前提ですが、10万円くらいで購入できる3Dプリンターを利用して、立体出力をする方もでてきています(材料代は数千円で済みます)。ほかにも3Dプリンターを利用できるカフェもありますので、そこで出力すれば安く作成できるかもしれませんね。

ニリツ 最近印刷会社さんでも「3Dプリンター出力をはじめました」というところがでてきていますよね。

――出力センターさんでも3Dプリンター出力をメニューに加えている会社もあります。

藤縄 そのうちコンビニエンスストアさんでも3Dプリンター出力のサービスが始まるかもしれませんね。

ニリツ イラストレーターと原型師、クライアントを結ぶ場があると、もっと市場が活性化すると思います。

イラストレーターも、原型師も、これから始めたい方もデジタル原型はオススメ

――これからデジタル原型師を目指す方にひとことお願いします

ニリツ 「2次元のイラストの仕事から次のステップへ」という前向きな姿勢で、デジタル原型を始めるとよいと思います。私の知人でも、背景のモデルを3Dソフトで作成して絵に取り込む方が増えてきました。すごく複雑な人工物や機械を3Dで作成して、それを原画のパース上に組み込み、組み込んだものを下絵にして描く方が増えてきています。

 特に同じキャラクターを何度も描く時には、一度3Dで作成しておくと効率がよいですが……。私自身、3Dの表現手法について勉強したいと考えています。

藤縄 最終的に作成するのは、「フィギュア」という3次元の立体モデルになるので、デジタルであろうがなかろうが、「手で原型を作っている」というイメージで制作してほしいと思います。結果として「上手い」「下手」が出てくるのは仕方ありません。

 実際に手で触ってみないと、わからないことも数多くあります。CGしか知らない人がデジタルで原型の作成をした場合、表面処理の工程で初めて「原型作りの難しさを実感した」と聞いたことがあります。実際に自分で経験しないとわからないことがたくさんあるので、積極的にそうした作業を経験してほしいと思います。

ニリツ 最近のプロのイラストレーターの方は、ペンタブレットを使ったデジタル環境でイラストの制作から入った方も多いです。

 原型師の方からすれば、一度アナログ原型を経験してからデジタル原型の世界に入る方法と、デジタル原型を行いつつ平行して行う方法のどちらがよいのでしょうか?

藤縄 3Dを使ったスカルプトの手法を習得するのに時間がかかりますので、平行して行うのがよいと思います。アナログ原型のみからスタートして、プロフェッショナルになろうとすると2~3年かかりますので、同時進行で行うのがよいと思います。

――お忙しいなか、ありがとうございました!

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この記事の著者

翔泳社 書籍編集部(ショウエイシャ ショセキヘンシュウブ)

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