センサーデバイスからの大量データはAzure Event Hubsで受信
Azure Event Hubsは、センサーデバイスなど、スケーラブルなイベントの受信に特化したサービス。数百万デバイスへの接続が可能で1秒あたり数百万イベントを受信できる。AMQP/HTTPSをサポートしており、デバイス単位にユニークなトークンベースセキュリティモデルを採用している。このサービスを使って、Stream AnalyticsやHDInsightなどにデータを渡す。Event Hubsはパーティションという概念を採用しており、これにより並列処理を実現している。パーティション数を増減させることで、スケールアウト、スケールインできる。イベントの保持期間なども指定可能だ。また用途別にコンシューマグループを作って、そのコンシューマグループを作ることで、目的別に出口を設定できる。
続いて佐藤氏が紹介したのは、「Azure Stream Analytics」。これはAzure上でストリームデータをリアルタイムで処理するサービスだ。これを使うことで、「例えば直近1時間で何台の赤い車が高速15号線の165番出口を通過したかという分析が容易にできるようになる。しかも結果は永続的にデータストアに格納したりダッシュボードで可視化したりすることができる」(佐藤氏)。
Stream Analyticsではリアルタイム分析のためのタンブリングウィンドウ、ホッピングウィンドウ、スラインディングウィンドウという3つのウィンドウ生成方法を用意。例えば5分ごとにイベントをマッピングしたいというのであれば、タンブリングウィンドウを使えばよい。またホッピングウィンドウは、一定の時間ごとに前方にホップするウィンドウ。最初の10分間が、5分後の10分間に対してどの程度進んでいるかというような見方ができる。スライディングウィンドウはイベントがウィンドウに入った時点でイベントを出力する。
クラウドサービスなので、ストリーミングユニットを増やしていくことで、スケールアウトできるようになっている。構文はSQLライクであり「SQLの知識があれば、容易に使えるはず」と佐藤氏は言う。
未来予測をしたいというニーズにもAzureは応えてくれる。それが「Azure Machine Learning(ML)」という機械学習のサービスだ。
「マイクロソフトは機械学習への深い知見を持っている」と佐藤氏。というのも97年にリリースされたHotmailでは、すでにスパムメールの判断を機械学習で行っていたという。またBingマップのルート検索やSkype Translatorのリアルタイム翻訳エンジンにも活用している。最近だとLINEの女子高生AI「りんな」が話題である。
使い勝手も簡単だ。Azureサブスクリプションにログインすれば、ブラウザだけで開発が可能。このWebベースの設計ツールは、「機械学習や統計解析の勉強ツールとしても使える」と佐藤氏。RやPythonで使われる数百ものアルゴリズムやパッケージが利用でき、1クリックで学習が完了したモデルをWebサービスとして即時デプロイできるうえ、汎用性高いサービスが作成できれば、マーケットプレイスに公開して、マネタイズができる可能性がある。
「Azure MLは顧客解約分析やSNS分析、レコメンデーション、ロジスティクスの最適化、機器予防保全など、さまざまな領域手適用できるはず」(佐藤氏)
最後に紹介したのは、分析したデータを可視化するためのツール「Power BI」である。これはSaaS型BIサービスの「PowerBI.com」と、無償のデスクトップBIツール「Power BI Desktop」という2つの形で提供している。もちろんモバイルにも対応している。Power BIはバッチ系のシナリオでもリアルタイム系のシナリオでも、簡単にそして美しく可視化できるのが最大の特徴だ、と佐藤氏。
「Azure.comにアクセスし、実際使ってみてその便利さを体験してほしい」、こう参加者に呼びかけ、佐藤氏のセッションは終了した。
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