メルカリは日米英で異なるインフラを採用――メルカリのインフラの変遷を ソウゾウ 鶴岡達也さんに聞く
クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略 第4回(前編)
US版メルカリではAWSを採用、クラウドの柔軟さが日本以上に重要
吉羽 さくらインターネットのサーバの後はどんな構成に?
鶴岡 その後は、さすがに100万ユーザーを超えてくるとデータベースが遅くなる問題が頻発しはじめたんですね。そのころ、元mixiで負荷対策の経験が豊富な森本に、インフラの面倒を全部見てもらうことにしました。つまり、サーバサイドのエンジニアが見ていた時代から、インフラのチームとして見る時代になっていったんです。
吉羽 そのチームは、今何人くらいいるんですか?
鶴岡 6人です。
吉羽 その頃はもうクラウドに移行し始めたんですか?
鶴岡 メルカリのJP(日本版)は、今もさくらなんですよ。構成は、まるっと変わっているんですけどね。そのあとメルカリのUS(米国版)が始まりました。
吉羽 US版がAWSなんでしたっけ?
鶴岡 そうです。USがスタートする際、専用サーバも調査したのですが、安くないし、クラウドの柔軟さが日本以上に重要でした。
スケールも大きいし、どういう増え方するのか予想がつかないので、それに対処できるようにということでAWSを使うことになりました。
吉羽 その時はGoogleやAzureを使おうという話にはならなかったのでしょうか?
鶴岡 なかったですね。3年前なので、当時のGoogle Cloud Platform(GCP)はまだそこまでメジャーじゃなかったんですよ。
吉羽 Azureもエンタープライズ向けのイメージが強かったですね。
鶴岡 AWSの経験者はたくさんいたので、触れる人がいるという安心感がありました。
吉羽 一貫しているのが、自分たちでできる技術を選んだということですね。今USと日本は、アーキテクチャはだいたい同じでしょうか?
鶴岡 はい、同じです。
吉羽 では、ハコがどこにあるかの違いぐらいっていうことですね。
鶴岡 AWSには多くの尖った機能がありますが、それに依存すると、USでしか使えないコードになってしまうので、AWS特有の技術は極力使わずにやっています。
吉羽 Amazon S3やAmazon SQS(Simple Queue Service)もあまり使ってないですか?
鶴岡 疎結合にできるものはインターフェースを差し変えれば対応できるので結構使ってます。
吉羽 DynamoDBは?
鶴岡 代替する技術に切り替えられないので使っていません。
今、SRE(Site Reliability Engineering)のチームは日本にありますが、JPとUS版両方見ています。次はUK(イギリス)に展開していくんですが、UK版はGCPになります(UK版は3月15日にサービス開始済)。
ログ解析はBigQueryへ、Googleの底知れなさが感じられるキラープロダクト
吉羽 Treasure Dataを使っていたのは、当時はBigQueryが無かったからという理由とのことですが、その後BigQueryに変わっていったんでしょうか?
鶴岡 そうですね。Treasure Dataはストレージ容量が従量課金ではなかった点と、クエリを専有するコア数に応じて課金する形になっていたので、クエリの実行ユーザが増えたときにコアが不足する問題がありました。BigQueryは、それと比較すると極めて安価で、パフォーマンスも圧倒的に優れていました。
吉羽 BigQueryはGoogleのキラープロダクトという感じですよね。ハコモノはAWSかAzureだけど、解析系はBigQueryを使うっていうのは、サービス系をやっている方の定番でしたよね。あまりRedshiftを使っている人がいないという印象がありました。BigQueryとRedshiftはアーキテクチャが違いますよね。
鶴岡 そうなんですよ。Amazonの技術は、データセンターがあって、みんなが使っているのと同じサーバがたくさん並んで、その上に構築されてる技術というイメージ。サーバ下のネットワークや裏側がなんとなく想像がついて、パフォーマンスの制約が見えてくる面がありましたが、Googleはそこがもう独自の技術というか、謎に包まれていて。
吉羽 確かに(笑)。
鶴岡 BigQueryは、データも容量制限なくクエリもいくらでも投げられる、もう底知れなさがありますね。
この記事は参考になりましたか?
- クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略連載記事一覧
-
- 業務の50%以上を技術普及に使えるメンバーも!? 技術が集まってくる環境づくりを、ソウゾウ...
- 「メルカリ アッテ」でなぜGCPが採用されたのか? ソウゾウ 鶴岡達也さんに聞く
- メルカリは日米英で異なるインフラを採用――メルカリのインフラの変遷を ソウゾウ 鶴岡達也さ...
- この記事の著者
-
CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
CodeZineは、株式会社翔泳社が運営する開発者のための情報メディアです。日々の開発に取り組むエンジニアやテクノロジーを学びたい方に向けて、プログラミングやAI活用、開発ツール、エンジニアの学びとキャリアに関する記事をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
-
吉羽 龍太郎(Ryuzee.com)(ヨシバ リュウタロウ)
クラウドコンピューティング、DevOps、インフラ構築自動化、アジャイル開発、組織改革を中心にオンサイトでのコンサルティングとトレーニングを提供。 認定スクラムプロフェショナル(CSP) / 認定スクラムマスター(CSM) / 認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)。Developers Summit 2016ベストスピーカー(1位)。 著書に『Amazon Web Services企業導入ガイド』(マイナビ)、...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
