その他の影響について
サポートの方針の変更は、これまで述べたJava SEに関すること以外にも影響を与えています。例えば、Java EEやJavaFXなどはオラクル社の管理下からオープン化への道を歩み始めようとしています。これらの周辺環境について簡単に紹介します。
IBMによるJava VM
IBM製品を使ったことがある方であれば、Oracle以外にIBMでもJava VMの実装があることは知っているかと思います。そのIBMのJava VMがEclipse Foundationに寄贈され「Eclipse OpenJ9」の名称でオープンソース化されています。
IBMのJavaといえばIBM製品のためのJavaといった位置付けであり、筆者のイメージでは他の商品の一部でしたが、オープン化される方向になったことは興味深く思います。
ただし、JDKとは異なりJava VM部分のみになっているため、JDKやJREとして必要なライブラリ部分などはOpenJDKを利用する必要があります。
OpenJ9によれば、HotSpotベースのJVMよりも高速かつ少ないメモリ量での起動といった点で利点があるとのことです。目的に応じたJVMの選択もできるようになってくれば、Javaの用途も広がっていくことでしょう。今後どのようになっていくのか非常に興味があるところです。
Eclipse Foundationに移管されたJava EE
Java SEのアップデート計画がこれまでと変わるとなると、サーバーサイドのソリューションにかかわる開発者はJava EEはどのようになるのか疑問を持つことかと思います。
Java EEについてはJava EE 8が最終リリースとなり、それ以降新しいバージョンのリリースはありません。そして、Java EEはEclipse Foundationに移管され、Jakarta EEという新しいプロジェクトとしてスタートを切ることになりました。
新しいJakarta EEがどういった方向性を持って進むのかは現時点では確かなことはわかりませんが、Jakarta EEが行った開発者に望む機能に関しての調査からは、マイクロサービスに関するサポート強化と、Dockerなどのコンテナツールと連携したデプロイやスケーリングなどの管理を行うツール「Kubernetes」への対応が望まれているようです。
その結果を受けて、Jakarta EEからは「クラウドネイティブ」のキャッチフレーズを用い、今後の方向性を示しています。
JavaFXはJava 11から除外される
少々先の話になりますが、Java 11からJavaFXは分離され、OpenJFXというプロジェクトにて継続されていきます。
したがって、JavaFXの機能を継続して利用したい場合には、OpenJFXから別途取得する必要があります。また、JavaFXに関しての有償サポートを受けたい場合、Java 8に関する有償サポートを受ける方法しかなくなります。
Javaでの新しいGUIプラットフォームとして船出を切ったJavaFXですが、その後、Java SEにライブラリとして取り込まれ、そしてJava 11からは分離される結果になってしまいました。
変わる実行環境
Java 10のVMエンジンとしてもっとも大きな変更といえば、「ガベージコレクションに対する改善」と「インターフェースの提供」だと筆者は思います。Java 11では、このインターフェースの提供を利用した2つの新しいGCが提供される予定です。
1つはNo-Op GCという何もしないGCです。これによりGCの影響を考慮せずにテストが実行できるようになり、すぐに処理が終了するバッチ処理などの利用が前提となります。
もう1つは、実験的ステータスですが、ZGCという巨大なヒープ領域を持つ環境向けのGCです。つまり、GCまわりを最適化した特定用途向けの新しいJRE環境というのも生まれやすくなると考えられます。
また、Oracleによる無償のJava実行環境が終了し、Javaがアプリケーションと一緒に配布されるので、利用者はますますJavaであることを意識せずに利用できるようになります。
以上の動向は、用途に特化したJavaの実行環境を提供したいベンダーにとってはよい流れに見えるかもしれません。また、Java 10での実行環境に関する点で筆者が注目したのが、「Docker環境下での改善」です。
