Visual Basicイベントで資料請求チラシを配布したところ、FAXが鳴りやまず
あるとき、マイクロソフトが開催するVisual Basicのイベントでグレープシティのチラシを配布した。チラシに資料請求先として同社のFAX番号を記載したところ、FAXが鳴りやまなくなった。この反響を目にして、ファンガー氏は開発支援ツール事業が「これは、いけるかもしれない」と直感したという。
そして、自社製品の開発と同時に、海外製品のローカライズも進めていく。グレープシティは英語が話せる人材と海外との接点の多さゆえに、海外製品のローカライズは他の日本企業に比べると有利だった。単に日本語化、ダブルバイト対応するだけではなく、日本の慣習も考慮して高品質なローカライズを進め、ときには開発元に日本から開発者を派遣したこともあったという。それほど開発元とは緊密に連携しながら、日本市場が求める機能を製品に実装する努力を続けた。
ある製品では、日本の罫線文化を考慮して「罫線の角を丸くすることも可能にしてほしい」と開発元に要望を出したそうだ。思いもかけない細かい要望に開発元は「クレイジー!?」と驚いたそうだ。
日本からの要望を多く採り入れたこともあり、ローカライズした海外製品のなかには海外よりも日本で多く売れたものもあった。そしてさらに時代が流れ、ローカライズしていた製品の開発元を続けて買収することになる。2008年には「ActiveReports」のData Dynamics社、2009年には「SPREAD」のFarPoint Technologies社、2012年には「FlexGrid」などのComponentOne社を買収した。これらの企業はローカライズしていた製品の開発元であり、「買収したいとは考えていませんでした」とファンガー氏は言う。それぞれ事情は多少異なるものの、特に最初の買収は先方から持ちかけられたそうだ。
気概、誠実、勤勉、顧客中心、謙虚さが成功のキーポイント
クリスチャンによる英語教育のための学園がはじめにあり、その運営を支えるために開発した会計システムからグレープシティはIT企業として歩み出すことになった。自社開発と海外製品のローカライズ、買収も経ながらグレープシティは開発支援ツール事業を広げてきた。30年前を振り返り、ファンガー氏は「最初はビジネスの素人でした。ここまでの成長は予想していなかったです。ここまで来られたのもお客さまに育ててもらえたからです」と感謝を述べ、満足げにほほえみを浮かべた。
そんなファンガー氏が考える、ビジネスで成功するためのポイントは5つあるという。誠実や謙虚さを重視する生き方、相手や社会を重視する姿勢、そして努力を惜しまないところはクリスチャンらしさを感じる。
- 気概(Grit & Courage):失敗を恐れないチャレンジ精神。ナンバーワンを目指す。
- 誠実(Integrity):嘘をつかない。ごまかさない。真実を語る。
- 勤勉(Diligence):全身全霊。一生懸命、人一倍働く。
- 顧客中心(Customer First):常にお客さまのことを想い、社会に有益なことをする。
- 謙虚さ(Humility):おごることなく、謙虚な心は成功への道。
講演の最後には再び馬場社長が登壇し、グレープシティが今後重視していく項目やビジョンをいくつか挙げた。開発者を支援する姿勢はこれまでと変わらず、今後も新技術の創出に努めていくこと。かつて海外製品に日本市場の要望を取り込んでもらったように、日本仕様かつ高品質な製品をこれからも全世界に配給していくこと。そして最高のサポートサービスを提供していくことなどを挙げた。
「よい樹は、よい実を結びます」と馬場社長は同社の理念を挙げ、続けてこう述べて基調講演を結んだ。
「これからもいいアウトプットを出していくようにします。会場のみなさん、今日はこのイベントからいい実を持ち帰ってください」
