追加される小さな変更点(言語仕様・ツール)
次に、開発者にとって知っていると便利と思われるJava 11での変更点を紹介します。
シングルJavaファイルからの即時Java実行
JShellでJavaコードをコンパイルせずに実行できるようになり、学習環境や簡易的なJavaの実行環境の改善がありましたが、今回のバージョンでも改善がありました。
今回の改善では、1つのJavaファイルであれば、コンパイル作業をせずに実行できるようになります。
例えば、リスト1のコードは、コンパイルをせずにjavaコマンドから直接実行ができます。
public class Sample { public static void main(String args[]) throws Exception{ System.out.println("Hello"); } }
$java src/main/java/Sample.java Hello
1つのソースファイルのみといった制限はありますが、クラスパスなどは普通に利用できるので、JSellより使いやすいケースもあり、簡易的な実行やスクリプト的な用途ではこちらの方が適しているはずです。
地味ではありますが、便利な機能なので今までなかったことを不思議に思います。
ラムダ式でも利用できるようになったvarによる型推論
Java 10で型を意識せずにvarを使って変数宣言ができるようになりましたが、ローカル変数のみに制限されていました。この制限はラムダ式で使えないことでコーディングの際に不自然さを生んでしまい、少々、癖がある印象を感じてしまうケースがありました。
しかし、Java 11ではリスト3のようにラムダ式でもvar宣言ができるようになりました。
List<String> list = List.of("1","2","3"); list.stream().forEach((var s) -> { System.out.println(s); }); BiFunction<Integer,Integer,Integer> f = (var x,var y) -> { return x + y; }; System.out.println(f.apply(10,10));
ただし、リスト4のように、明示的な型指定やvarを混ぜて使ったり、暗黙的な型指定と混ぜたりして使うことはできません。
BiFunction<Integer,Integer,Integer> ff = (Integer x,var y) -> { return x + y; }; BiFunction<Integer,Integer,Integer> ff = (x,var y) -> { return x + y; };
これらのコードは技術的には利用できてもおかしくなさそうですが、実際のコーディングではやらないと思われるので問題はないはずです。