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国内最大規模のデータで「社会の課題」を解決できるよろこび――現役データサイエンティストが語る“仕事の魅力”

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2018/11/30 14:00

 データの利活用ニーズの急増とともに、日本でも注目度が高まっている「データサイエンティスト」。エンジニアとの接点も増える中、実際にどのような仕事をしているのか、気になる方も多いだろう。そこで、国内最大規模のデータと最先端のデータ処理・分析技術をもつデータサイエンティスト集団「ARISE analytics」で、実際に活躍中の2人に登場いただき、その仕事の内容ややりがい、スキル習得、職場環境などについてうかがった。

目次

課題定義から解決案提示までを行う、分析のエキスパート

 「ARISE analytics」は、KDDIとアクセンチュアがそれぞれ強みを持ち合い、データ分析に特化した国内最大級のアナリティクスカンパニーとして2017年に誕生した新しい会社だ。通信キャリアとして、リアルタイムに近い大規模なデータを保有し、その強みを生かした多彩なデータ分析を実現する。設立して日も浅いにも関わらず、最先端のスキルを持つデータサイエンティストの集団として、各方面から熱い注目を集めている。

 その1人である堀越真映氏は同社の立ち上げからアクセンチュアより参画し、現在はデータ分析アルゴリズムを活用したソリューション開発や若手データサイエンティストの育成を担当している。

●●(★部署名) データサイエンティスト 堀越真映氏
データサイエンティスト 堀越真映氏

 「ARISE analyticsの事業におけるデータ分析の業務対象は大きく2つあります。まず1つめはKDDIグループ向けの分析と、KDDIグループ以外のユーザー企業向けの分析です。例えば、前者ならお客様の行動から将来のauの解約者数を予測すること、後者なら位置情報データを使った将来の人口予測の提供や、工場内のセンサーデータを収集して異常を検知するソリューション開発などを行っています」

 近年ではデータ分析ニーズの増加とともに、業種もテーマも多様化しているという。例えばエンドユーザー向けサービス業であれば、顧客の属性を分析してサービスを改善したいといった要望がある。製造業であれば、自社の工場のデータを用いた分析を依頼されるケースもある。どの業種においてもデータ活用のニーズは増えているものの目的や課題が明確になっていない場合が多い。依頼元にヒアリングしながら分析の目的・課題を明らかにするところから、データサイエンティストの役目となる。

“分析担当者”から、解決策をダイレクトに提案できる“データサイエンティスト”へ

 一方、高良真人氏は2018年8月よりARISE analyticsに入社したニューフェイス。大学・大学院時代は経済学、計量経済学をはじめ、統計分析の研究も行い、インターンを経て入社したシンクタンクでは約3年にわたり、マクロ経済の変数予測や個票データを用いた実証分析などを担当してきた。そこからあえてARISE analyticsに転職したのは、どういった理由からなのだろうか。

 「以前の会社では、経済事象の分析などがメインで、現状を仮説として検証するのも1年がかり。また何を分析するかなどの設計は別の人が行い、私はあくまで分析担当者の役割でした。さらに、業務のゴールは分析結果を示すだけで、そこからどのようなアクションをとるのかは先方次第でした。そこで課題を抱えるクライアント企業に対し、リアルタイムに近い形で分析結果とその後の改善策を提案し、課題解決に貢献したいと考えたのです」

●●(★部署名) データサイエンティスト
データサイエンティスト 高良真人氏

 高良氏のような分析担当者からのキャリアチェンジ以外にも、さまざまな職種から転職してきている。そのため同じデータサイエンティストでもバックボーンや得意分野が異なるという。

 堀越氏はというと、精密機械メーカーに勤務し、事業部で自らの業務成果を上げるために“自分なりに”分析を始めたことが、データサイエンティストとしてのキャリアのスタートとなった。その分析力が社内で評価され、データ分析業務を任されるまでに成長。その後、さらなるステップアップを目指し、2016年4月にアクセンチュアに入社し、データサイエンティストとしてのキャリアを磨いてきた。

 「もともとアクセンチュアの前に所属していた会社では、海外に出した製品について、どのようなレポートがあがってくるかをまとめて品質に反映させる部門に所属していました。身近にあるデータから、それを用いてもっと成果を出せないかと思って、データを分析し始めたわけです。だから、データサイエンティストになろうと決心して目指したわけではなく、やっていることがデータサイエンティストの業務だったという感じでしょうか」

 両名はこうしたキャリアチェンジを経て、データサイエンティストという職種に至った。現在は主に、外部の顧客に独自のソリューションを提供する業務に携わっているという。

 業務では、顧客企業側から「分析してほしいこと」を依頼されることも多い。しかし、言われたことをそのまま分析するのではなく「なぜ分析したいのか」をくみ取り、その上で分析方法を考え、提案することが重要なのだという。

 「プロジェクトによって異なりますが、だいたい数人でチームを組んで課題抽出から分析、課題解決のための施策提案まで進めていきます。データサイエンティストというと、常にパソコンと向かい合っているイメージがあるかもしれませんが、顧客企業担当者や窓口となるコンサルタント、データサイエンティスト同士で議論することも多く、コミュニケーションが仕事の基本とも言えるでしょう」(堀越氏)

 また高良氏は入社から3カ月間の研修中だが、早くも「ARISE analyticsのデータサイエンティストとしてのスタンス」を実感しつつあるようだ。

 「研修では事例紹介なども受けますが、最初の課題定義を意識していくことが本当に重要だと感じます。クライアントから依頼されたことを鵜のみにするだけではなく、彼らが本当に分析したいことを引き出せるようにならなければいけないと考えています」

求められるスキルとは? 常に「なぜ」を考える好奇心が重要

 そのようなARISE analyticsでデータ分析に携わることには、どのような魅力があるのだろうか。

 母体の1つであるKDDIから受け継いだ強みは、通信キャリアとして、リアルタイムに近い多くのデータを保有し、蓄積していける点だ。これは、データサイエンティストにとって非常に魅力あるものだという。

 高良氏は「分析のスピード感や効果への手応えは、ARISE analyticsならではと言えるかもしれません」と語る。「個々の企業が抱える直近の課題を解決するのは重要であり、ユーザーや担当者に感謝されるなど、喜びを感じることは間違いありません。でも、個人的には、データを使って何らかの形で社会の課題を解決することにも貢献したいと考えています。例えば、交通渋滞や通勤ラッシュの緩和なども、位置情報データから解決の糸口を見いだせるはず。そのためのデータが揃っている場はそうそうなく、職場としてのARISE analyticsの魅力だと考えています」

 では、そうした豊富なデータを最大限に活用・分析できるデータサイエンティストになるために、必要な能力とは何か。

 まず堀越氏が挙げたのは、人や施策、そしてデータに対する「好奇心」だ。常に「なぜ」を考え、裏側にある物理的なメカニズムをデータから解き明かすべく、最適な分析方法を考える。

 「データ分析を行う上ではまずビジネスやデータの理解が必要です。そのためには、データを深掘ったり、有識者にヒアリングしたりと主体的に行動することが非常に重要です。また、ツールや手法、集まるデータもどんどん変わっていくので、自ら学んでキャッチアップしていく必要があります」

 それに加えて、求められるは数学的・理論的な知識、プログラミングの実装力、ロジカルシンキングに基づくコンサルティング力などだという。堀越氏いわく、どれかひとつ得意分野があればよいらしい。

 「第一線の人間もすべてトップレベルでできるわけではなく、得意不得意はあります。コンサルティング力など業務を通じてでないと身につけられないことも多いですし。高良さんは統計理論は既に身についているし、プログラミングではRが使えました。今は、あまり経験がなかったPythonもキャッチアップしているところですね。

 そういった意味で最低限必要なスキルというのは定義しにくいですが、データを使って何かを解決しよう、実現しようというマインドは必要だと思います。加えてチームで仕事をする上で不可欠な相手を尊重する気持ち、そしてデータに対する倫理観などは必要です」(堀越氏)


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 篠部 雅貴(シノベ マサタカ)

     フリーカメラマン 1975年生まれ。  学生時代、大学を休学しオーストラリアをバイクで放浪。旅の途中で撮影の面白さに惹かれ写真の道へ。  卒業後、都内の商業スタジオにカメラマンとして14年間勤務。2014年に独立し、シノベ写真事務所を設立。雑誌・広告・WEBなど、ポートレートをメインに、料理や...

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