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イベントレポート

Rubyの魅力は柔軟性、生産性、そして活発なコミュニティ活動――「Ruby biz Grand prix 2018」表彰式レポート


Rubyの柔軟性を生かして魅力的なサービスを実現――大賞・特別賞受賞企業によるプレゼンテーション

 大賞と特別賞を受賞した企業には、プレゼンテーションの場が用意され、それぞれがサービスやRubyとの関わりについて発表した。

情報一元管理サービスで、建設業界の課題に打ち勝つ「ANDPAD」

 オクトが特別賞を受賞した「ANDPAD」は、建設会社1300社への導入実績があり、建設業界の施工管理アプリでシェアNo1。工事現場で働くさまざまな人が対象となるサービスで、PC、スマートフォンから利用できる。

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案件発生から完工まで、現場に関する情報を全て一括で管理できる

 人材不足や生産性の低さ、あがり率の低さなどの課題を抱えた建設業界。ANDPADによる情報一元管理によって無駄な作業を省き、深夜0時までかかっていた作業を20時までに終えることができるようになった事例もあるという。

 リードエンジニアの金近氏は、「創業当初、全く売れない時期もあったが、業界のお客さまとともに試行錯誤しながら作ってきた。同じIT業界のプレイヤーの皆さまにも応援していただけたら幸いです」と話した。

エンジニア1人からRubyで開発し成長「グロービス学び放題」

 「グロービス学び放題」で特別賞を受賞したグロービスは、日本最大手のビジネススクールを運営している。その講義をスマートフォンやPCでいつでもどこでも受けられるようにしたサービスが「グロービス学び放題」だ。

 「グロービスのビジョンは、経営に関する『ヒト』『カネ』『チエ』の生態系を創り、社会の創造と変革を行うこと。社会人教育によってビジョナリーリーダーを輩出し、その人たちがいろんな分野で価値を創造するような社会を作ることを目指しています」とテクノロジーマネジャーの末永昌也氏は語る。

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 そんな教育を1人でも多くの方に届けたいという思いから、グロービス学び放題は誕生した。 現在6万人を超える会員を抱えている。また、驚くべきことに、法人ユーザーの修了率は93%という高さを誇っている。

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200本以上の動画講座を、月額1980円でどれでも「学び放題」

 Rubyに関しては、社内エンジニアが1人もいなかったところから、コア技術としてRubyを使うことを決め、4か月でサービスをローンチした。Rubyの生産性の高さに助けられたという。

 エンジニアが50名となった今でも、Rubyを使って新しい開発にチャレンジできる。開発の速度が速いので、ユーザーと一緒にどんなサービスを作るか考えられる柔軟性もある。

 「サービスを通して、1人でも多くの人が新しいことにチャレンジするための『学びのきっかけ』を提供することで、世界に対して影響力を与えられている。Rubyのコア技術の発展にこれからも貢献し、その先にあるビジネスとしての社会価値の創造を、推進していけたらと思っています」

スピード勝負のAd PlatformにもRubyを!「ScaleOut」

 「ScaleOut」が特別賞を受賞したSupership。2006年に取締役CTOの山崎大輔氏が立ち上げた「ScaleOut」という会社は、2013年にKDDIグループに買収された。その後合併し誕生したSupershipは、KDDIから出資を受けるSupershipホールディングスの子会社として「ハイブリッドスタートアップ」という新しい事業の形をとっている。

 ScaleOutは、国内最大級の広告配信システム「ScaleOut Ad Platform」を提供。その上に2つのプロダクトがある。1つは「Ad Generation」。アプリで広告収益を得たいプレイヤーに収益基盤を提供する広告システム。月間360億impほどの大規模なシステムで、Googleなどの最大手をのぞけば、日本でのシェアはトップクラスだ。もう1つは、「ScaleOut DSP」。広告主が広告在庫を自由に買える仕組みで、月間3500億リクエストという規模感だ。

 取締役CTOの山崎大輔氏は、「スタートアップは、世の中を変えるということもそうだが、収益をださないといけないという大きなミッションもある。2017年度は約13.9億円の営業利益を上げ、そこに関しては成功しているのかな」と話す。

 高速配信が必要な部分以外はほぼRubyで書かれているという「ScaleOut」。なぜRubyを採用したのだろうか。

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ScaleOut のシステム概要

 山崎氏が起業した2006年ごろは、Ruby以外であまり成熟している言語がなかった。OSはFreeBSDで開発していたが、良いORMを探していたところ、「Railsが銀の弾丸と言ってもいいくらいのパワーを持っていた」という。さらにRuby界隈では有名な仲間たちにも恵まれたことで、さらに助けられ、Rubyコミュニティの厚さを実感したそうだ。

 「大企業」「スタートアップ」「Ruby」の3者の関係についても言及した。Supershipは、複数の会社が買収されて1つの会社として成り立っているので多様な文化背景があり、大企業の子会社、スタートアップの両方の強みを持つ。ハイブリッドスタートアップとして、大企業の資本の力を使いながら新しいことにチャレンジできるメリットはありながら、大企業がいまだにソフトウェアエンジニアを信じていない現実を変えたいと思った山崎氏。

 「KDDIほどの大企業が本気で担いでも大丈夫なくらい頑丈かつ柔軟なシステムの提供を目指した」という。それが実現できたのはRubyの持つ柔軟性のおかげだ。例えば、「Active Record」という、DBの操作を楽にするライブラリがあるが、12、3年前に開発された「このライブラリを超えるものは、今をもってほかの言語にはない」と山崎氏は言う。

 「Rubyのおかげで大企業の考え方を少しずつ変えられてきているかなと思う。これからもこれを続けていきたい」と締めくくった。

ムーブメントを目指す、日本初の社会派アプリ「TABETE」

 大賞を受賞した株式会社コークッキングの「TABETE」は、社会問題「フードロス」の削減を目的としたアプリ。これは、飲食店などでまだ安全に食べられるのに余ってしまい、捨てられてしまいそうな料理を、ユーザーにおいしく食べてもらうためのサービスだ。

 飲食店が、余ってしまいそうな商品の情報をTABETEに掲載、ユーザーはそれを見てサービス上で決済し、指定された時間にお店に行けばその料理をレスキューできる。リードエンジニアの榊原徹哉氏は「メインのターゲットは主婦や働く女性ですが、個人的にはおいしい料理がお得に食べられるので、食生活が不規則になりがちなエンジニアのみなさんにもおすすめです」と、会場にもレコメンドした。

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 この「フードロス」の問題は、食べ残しや腐りかけの食材ではなく「まだ安全に食べられるのに」捨てられてしまう食べ物のことを指す。予約のドタキャンなどによって余った料理だけでなく、クリスマスケーキや恵方巻などのイベント商品はフードロスに陥りがちだ。食料自給率の低い日本では、食料を輸入しては捨てているという矛盾を抱えている。

 こうした社会問題を解決するためのサービス開発に、Rubyを採用した理由について、榊原氏はこのように語った。

 「まだフードロスの問題自体認知度が低く、そもそもフードシェアリングのサービスが日本初の試みだったため、手探りの部分が多く、短い期間で更新しなければいけないことも多々あった。そんな社会的なサービスを開発するためには、迅速な開発力、柔軟な対応力がエンジニアにも求められる。Rubyはそんな開発チームの実現にぴったりの言語でした」

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TABETEは、3か月という短期間で、3名のエンジニアによって開発された

 今後の展開について、ユーザー数の増加や東京以外の地域への展開はもちろん、「社会的なムーブメントを作っていきたい」と榊原氏。「フードロスの問題は、TABETEだけでは解決しない。サービスを成長させつつ多くの人を巻き込んで、日本の持続可能な食環境を実現できたら」と展望を話した。

ユーザー目線の開発で、多くの学生の勉強を助ける「Studyplus」

 同じく大賞を受賞したスタディプラス株式会社は、『学ぶ喜びをすべての人へ』をミッションに、新しい教育の仕組みを創造し、主体的に学ぶ人を支援している。

 表彰されたサービス「Studyplus」は、学習管理SNS。教材を登録し、勉強時間やページ数を記録、データをグラフで可視化できる。また、SNSで勉強仲間を見つけて励まし合うことでモチベーションを継続する。

 「われわれは学習を『継続できるか』が課題と考えている。学習というのは結果をすぐに体感することは難しい。Studyplusは日々の成長を可視化し、SNSで学習者同士をつなげることで、その課題を解決します」とCTOの島田喜裕氏は語る。

 2012年のローンチから、累計のユーザー数は300万人。勉強時間のトータルは3億を超える。「ここまで成長と開発のスピードを持てたのは、Rubyという言語のおかげ」だという。

 島田氏は「Rubyの活発なコミュニティと整えられたエコシステムのおかげで、良く使われるライブラリが整理されており、一定のスピードで柔軟に開発できた。ここまでの成長はRubyなしでは考えられません」とRubyを採用したメリットを語った。

 大学進学を考えている高校3年生の3人に1人が利用し、中・高校生に圧倒的に支持されているStudyplus。ユーザーの声としては、「Studyplusを使うことで勉強のやる気が増す」といったポジティブなフィードバックが数多く寄せられているという。ユーザー目線の開発を大事に、学生や会社でアンケートをとっているそうだ。

 「Rubyを中心に据えて、学習者にとって欠かせないサービスを目指してこれからも開発していきたい」(島田氏)

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「インパクトを与えるビジネスは、苦労した中から生まれる」――まつもとゆきひろ氏

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この記事の著者

岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/11288 2018/12/18 17:51

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