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イベントレポート

Rubyの魅力は柔軟性、生産性、そして活発なコミュニティ活動――「Ruby biz Grand prix 2018」表彰式レポート


「インパクトを与えるビジネスは、苦労した中から生まれる」――まつもとゆきひろ氏

 表彰式の最後に、Rubyの開発者であり「Ruby biz Grand prix」審査委員長のまつもとゆきひろ氏が今回の結果についてコメントした。

 「正直なところ審査は難航しました。毎年、応募数もさることながら、全体のレベルも上がっている。本当はもっと多くの人に(賞を)あげたかったです」

 その中でも、今年はDevice Technology賞とPricing Innovation賞が設けられたのは特徴的だった。選出したサービスの共通項を見て、賞の名前を決めたという。

 また、受賞コメントやプレゼンテーションにおいて、多くの受賞者が「Rubyのおかげ」で事業を実現できたことを強調していた。この点についてまつもと氏は、「Rubyをほめていただいてうれしいが、実際問題として、Rubyが果たした役割は一定程度。完成するまでのみなさんの努力がこの結果につながったと思います」と受賞者たちをたたえた。

 「社会を変えるインパクトを与えるビジネスは、苦労して作り上げたものの中から生まれます。例えば初期Rubyで書かれていたTwitterは、当初『140字しか書けないのに何が楽しいの?』と言われていたが、メンションやいいねなど、機能を追加していった中で評判が高まって、今や社会に大きなインパクトを与えている。Airbnbも同様で、『家を見知らぬ人に貸し出すなんてクレイジーなアイデア』とされていたが、今やホテルに並ぶ宿泊手段。これもRubyで開発されています」

 今回の受賞企業の中にも、クレイジーなアイデアがあった。表彰されたサービスがそれぞれ特徴的だった点、評価した点を挙げた。

 「中でもCASHはクレイジー。初日からすごい勢いでサービスに人が殺到した様子を見た時には『すごい』と思った。また、『アドテックというスピード勝負のところにRubyを使って大丈夫?』と作った本人が思うようなSupershipのサービスや、急速に内製化を進めたグロービスのデジタルトランスフォーメーション。そして、コークッキングの社会的な問題の解決に対しての努力を高く評価しました」

 また、高校生のお子さんを持つまつもと氏の知人が、子どもに「お父さんはStudyplusどう使っていたの?」と質問された話を紹介して、すでにサービスが社会的に大きなインパクトを与えていることを示した。

 「それぞれの企業が、世界をもっと良くしようとしています。ビジネスをデザインする人たちと、実際に開発する人たちの距離が近く、高い生産性かつ速いスピードで開発が行われて、結果的に社会を変えることができている。これこそがこのグランプリを開催してみなさんを応援することの価値ではないかとうれしく思っています。これからもRubyが社会を変えるビジネスに貢献していくことを祈りたい」

 最後にこのように話し、表彰式を締めくくった。

「社会的な問題を解決しよう」としている取り組みを応援したい

 以上の結果を踏まえて、今年の特徴、審査にあたって考えたことについて、まつもと氏に直接うかがった。

 ――今年で4回目となる「Ruby biz Grand prix」。応募数が増えただけでなく、応募されたサービスのクオリティが高かったとおっしゃっていましたが、今年は特にどんな傾向がありましたか?

 まつもと氏:応募で集まった40件全体というよりは、今回受賞した企業の傾向になりますが、「社会的な問題を解決しよう」という取り組みが多かったような気がします。例えば、「お金の流れをスムーズにさせよう」「テクノロジーによって教育を支援しよう」「フードロスという社会的な問題をテクノロジーで解決しよう」と取り組んでいる企業に、賞を差し上げることができました。

 過去にももちろんそういった企業からの応募はありましたが、今年は特に目立った印象です。

 ――そういった社会的な問題を解決しようとしている企業を、後押しする意味合いもあったのでしょうか? グランプリを受賞した「TABETE」などは、日本での普及はこれからというアイデアだと思いますが、持続していけば社会的インパクトを与えるサービスといえると思います。

 まつもと氏:審査委員それぞれの考えを総合して決めたのですが、すでに知名度があり「この人たちがRubyを使っているんだ」ということが社会へのインパクトになる可能性がある、という点も選考基準に入れました。また、逆に現在の知名度はまだまだでもこれから認知されていって、「この人たちもRubyを使っているんだ」と思ってもらいたい、ということも考慮しています。

 例えば今年の場合だと、スタディプラスさんはとてもメジャー。そんなスタディプラスさんがRubyを使っていることが大々的に知られると、Rubyとしては社会的なインパクトがあるだろうと考えました。また、コークッキングさんに関しては、こういった高い志を持った人たちがRubyを使っているんだということを知らしめたいという思いもありました。

 ――今回は、EdTech企業(スタディプラス株式会社や株式会社グロービス)の受賞も気になりました。

 まつもと氏:教育というのは、実は新しいテクノロジーが参入しづらい領域です。特に学校教育は入りづらい。スタディプラスさんはそんな学校教育に絡めていますし、グロービスさんは社会人になってからの教育。たしかに、「教育」というジャンルであったことに対しての評価はありました。

 それまでテクノロジーが入り込めなかった分野に関わってがんばっている企業は、応援したいなという思いがあります。

 ――来年の開催でも、Rubyでどんなチャレンジをしている企業が登場するのか楽しみです。ありがとうございました。

 

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この記事の著者

岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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