Rubyを存分に生かし、魅力的なサービスを実現した10組が表彰
島根県では、松江市在住のまつもとゆきひろ氏が開発したRubyを中心として、IT産業振興に取り組んでいる。そんな島根県が主催し、今年で4回目となる「Ruby biz Grand prix」。過去最多の40組の応募の中から、以下の10組が最終選考にノミネートされた。
- SCSK九州株式会社
- 株式会社オクト
- 株式会社グロービス
- 株式会社コークッキング
- 株式会社コラビット
- Supership株式会社
- スタディプラス株式会社
- 株式会社バンク
- ユカイ工学株式会社
- 株式会社リブセンス
※50音順
Ruby biz Grand prixは、Rubyを活用して新たな価値を創造し、さらなる飛躍を期待できるサービスに与えられる。審査の基準としては、事業の成長性と持続性、Ruby の関わり方、事業の社会的な影響度(事業の実効性・インパクト)などが考慮される。
今年は、グランプリ2点と特別賞3点に加え、「Device Technology賞」2点と「Pricing Innovation賞」3点も設けられた。それぞれどんな企業・サービスが受賞したのだろうか。代表者の受賞コメントとともに紹介する。
Device Technology賞
SCSK九州株式会社
サービス名:Plato(プラトン)
「Plato(プラトン)」は、mrubyを使ったIoTのフレームワーク。IoTアプリケーションの開発を支える。
受賞コメント:「今回、mrubyを使ったIoTのフレームワークを作りました。みなさんがIoTをすぐにでも使えるようにという思いでやっている。これからもmrubyを使って進めていこうと思います」(組込システム部 MFGS2 担当 課長 石井宏昌氏)
ユカイ工学株式会社
サービス名:BOCCO(ボッコ)
「BOCCO(ボッコ)」は、家族をつなぐコミュニケーションロボット。
受賞コメント:「3年前に発売したBOCCO。開発当時は、私もLinuxを動かしRubyのソースコードを楽しみながら書いていました。ロボットの中でRubyを動かして、それを製品化する事例はあまり聞いたことがなかったと思う。スクリプト言語で変更が簡単で、ライブラリも豊富。Rubyを使って良かったと思っています」(代表取締役 青木俊介氏)
Pricing Innovation賞
株式会社コラビット
サービス名:HowMa(ハウマ)
「HowMa(ハウマ)」は、自分の家が今いくらで売れるのか?を瞬時に査定できるサービス。
受賞コメント:「個人的には、Rubyは本当に人生を変えてくれるくらいの魅力を持っていると思っています。うちのエンジニアの中にもRubyで人生が変わった人がたくさんいる。これからもRubyを盛り上げる役割を担って、がんばらないといけないなという気持ち」(CTO 川原仁人氏)
株式会社バンク
サービス名:CASH(キャッシュ)
「CASH(キャッシュ)」は、目の前のアイテムを瞬間的に現金に変えられるアプリ。
受賞コメント:「少額の資金のニーズがあるのではないかと考えて開発したCASHは、リリース当日から非常に話題になり、想像をはるかに超えて多くの人に使ってもらえた。当初は社員3人の会社で、3か月くらいで開発したサービス。『こんなことできたら面白いのでは?』『便利に使ってもらえるのでは?』といったアイデアや構想を、Rubyという言語を使って実現できたので、ありがたく思っています。多くの人に使ってもらえるような事業を、Rubyを使って展開していきたい」(代表取締役 光本勇介氏)
株式会社リブセンス
サービス名:転職ドラフト
「転職ドラフト」は、企業から具体的な年収つきでスカウトが届くリクルーティングサービス。
受賞コメント:「転職ドラフトは、『実力が正当に評価される社会を作る』ことを基本に、年収の公開など情報の透明性を重視しています。現在1万名の求職者、350社の企業に利用いただき、多くの出会いの場を提供できた。このサービスの基盤としてRubyを活用させていただいており、感謝しています。これからもより多くのユーザーに利用してもらえるように励んでいきたい」(転職ドラフトプロジェクトプロジェクトリーダー 星野里季氏)
特別賞
株式会社オクト
サービス名:&ANDPAD(アンドパッド)
「&ANDPAD(アンドパッド)」は、建設現場向け一元管理クラウドサービス。
受賞コメント:「建設業界のSaaSという、プレイヤーの少ない分野の中で、評価されたことがうれしい。また、CTOである兄とともに楽しくRubyを書いてきたことが、このようなすてきな結果につながったことをうれしく思っています。Rubyは家族の絆まで強めるいい言語です。これからも365日Rubyを楽しく書きながら、建設業界に貢献できたら」(リードエンジニア 金近歩氏)
株式会社グロービス
サービス名:グロービス学び放題
「グロービス学び放題」は、社会人教育大手のグロービスが提供する、いつでもどこでも学べる動画学習サービス。
受賞コメント:「グロービスは、日本のビジネススクールの中でも大きい。『グロービス学び放題』は、われわれの持っているビジネス教育を多くの人に届けたいという思いで作ったサービス。2年半前まで社内にエンジニアはいなかったが、私が1人目のエンジニアとしてRubyという技術を使うことを決め、今は50名にもなる。デジタルトランスフォーメーションを推進していく力がRubyにはあると感じています。Rubyを主力技術として使いながら、これからも社会に対して貢献していきたい」(テクノロジーマネジャー 末永昌也氏)
Supership株式会社
サービス名:ScaleOut(スケールアウト)
「ScaleOut(スケールアウト)」は、企業のマーケティング、広告配信を支えるアドプラットフォーム。
受賞コメント:「Supershipは大企業とスタートアップの、事業創造の新しい形(SupershipはKDDIのグループ)。広告配信システムScaleOutは、広告主に広告在庫を提供する、アクセス数もかなり多い大規模なシステムです。広告配信システムというのは、普通少人数で作れるものではないが、Rubyは1人で書いても対抗できる生産性があった。また12年前、Railsがはやり始めたころに起業し、情報が少ない中でもコミュニティが発達していて助けられました」(取締役CTO 山崎大輔氏)
大賞
株式会社コークッキング
サービス名:TABETE(タベテ)
「TABETE(タベテ)」は、飲食店で余った料理をレスキュー(テイクアウト)できるフードシェアリングサービス。
受賞コメント:「TABETEは、フードロスの削減を目的としたフードシェアリングサービス。日本ではまだ低いフードロスの認知度を上げ、フードロス削減に向けてムーブメントを起こせるようにこれからも活動していきたい」(リードエンジニア 榊原徹哉氏)
スタディプラス株式会社
サービス名:Studyplus(スタディプラス)
「Studyplus(スタディプラス)」は、勉強の記録を可視化してシェアできる、学習管理SNSサービス。
受賞コメント:「学習管理SNSのStudyplusは、サーバーサイドをRubyで開発しています。Rubyの魅力は活発なコミュニティ活動。カンファレンスでは、ユーザーや開発者の熱量を感じます。今後もEdTech企業として、教育とRubyへの貢献に励んでいきたい」(CTO 島田喜裕氏)