U30エンジニアはいかなるキャリア戦略を描くべきか?
エンジニアのキャリア戦略を考えるにあたり、重要なのは「しっかり自分を客観視できるか」「1人で考える時間を持てるか」であると民輪氏は言う。このキーワードをさらにブレークダウンすると、今の自分を客観視する力と、それを踏まえて中長期的な目標を設定する力が必要になるということだ。必ず、現在の自分が持っている長所を軸に考えることが大事で、流行に惑わされてはいけない。

例えば、良い例は以下の通りだ。「スマートフォンアプリ開発」の軸がぶれることなく、着実にスキルアップしていることがわかる。
- 今:Android開発ができる
- 短期:iOS開発もできるようになる
- 中期:AndroidとiOSのOSSコミッターになる
- 長期:ネイティブアプリ開発のリードエンジニアになる
一方で、悪い例は以下の通りだ。自分の強みが何かを考慮せず、場当たり的にキャリア形成をしてしまっている。
- 今:Android開発ができる
- 短期:AIに興味を持ちPythonをやるも数学がわからず挫折。主流技術に置いていかれる
- 中期:生活費を稼ぐためにレガシーな環境に身を置く
- 長期:35歳になっても技術が伸びた気がせず、下の世代に置いていかれる
こうした前提を踏まえ、民輪氏はエンジニアのキャリア形成に必要な5つの要素を解説する。
「まず『1.自分の市場価値は何か?』を把握することです。何のスキルで飯が食えているのか。強みと弱みをリストアップし、強みを伸ばすのか弱みを補うのかを考えること。次に『2.中長期的になりたい人物像の策定』を行い、それを成すための戦略もセットで考えます。
『3.定期的なアウトプット』も重要です。技術ブログやSNSなどは採用面接の前には必ずチェックされますし、アウトプットするために勉強したことは無駄になりません。『4.プレイヤー・マネージャーどちらのキャリアを歩むか』も考えておきましょう。自分がどちらに向いているかは、日々の開発業務で一緒に働いている人たちの意見をもとに判断していきます。
『5.なりたい自分に合わせて環境を変える』ことも成長のためには必要です。短期的に年収が上がったとしても長期的にスキル向上につながるならば、勇気を持って転職した方がいい。ダメな環境にいたら、年齢とともに市場価値が下がってしまい、守りに入らざるをえなくなります」
本セッションを総括し、「組織に求められるエンジニア像とは何か?」を民輪氏は解説する。重要なのは「チーム開発を行ううえで、重要な人材になれるかどうか」だ。
開発チームには、CTOやPM、ディレクター、プログラマーなど多様な職能の人々がいる。その集団のなかで、自分に求められている役割とは何かを把握して動くこと。ステークホルダーを理解し、誰に対して主張を通すべきかを考えること。ビジネスへの理解を深め、成果にコミットすること。自分の意見の正当性を考え、ロジカルに主張すること。いずれも、組織に求められるエンジニアになるために欠かせない要素である。
「エンジニアであろうとマーケターであろうと営業であろうと、正常な組織であれば求められる人物像は同じです。前述のような要素を持ち合わせ、地道な努力を積み重ねていくことでしか、自分のレベルを上げることはできません。残念ながら、世の中には『はぐれメタル』はいないんです。日々のくり返しが、強い自分をつくっていきます」
