最終審査会をオンラインで開催 上位5作品がプレゼンテーション
シスコがイノベーションの促進に取り組んでいる。当初は論文で競う「シスコテクノロジーコンテスト」、2018年からは実用的なアプリケーションの開発で競う形に変わった。さらに2020年からはコンテスト名を「Japan DevNet イノベーション チャレンジ 2020」と改め、シスコの開発者コミュニティDevNetでイノベーションを後押しする機会となっている。
当コンテストは5月から募集を開始し、9月に提出を締めきった。2020年の応募は18作品。応募作品数そのものは昨年から減ったものの、複数企業からなる開発チームが組まれるなど、参加者数としては増えているという。仲間で力を合わせ、よりよい作品を創ろうとする傾向があるのかもしれない。実際にどの作品も力作ぞろいだ。
10月16日に一次審査結果を発表し、11月25日には最終審査会として上位5作品によるプレゼンテーションと最終審査が行われた。上位5作品の概要は以下の通り。
NLC-P「Go to Shot!」
NLC-P(Network Leaders Community-Programmability)は東海地域を中心とした、メーカー、ベンダー、通信業者からなり、地域活性化や後継者育成を目指して発足したコミュニティだ。
作品はMeraki Cameraを利用した観光地向けソリューション。観光地でいい記念写真を撮るのは意外と難しい。いいアングルで撮れる場所にMeraki Cameraを設置し、QRコードを通じて現地にいる観光客がシャッターを押して、写真をダウンロードできるような仕組みにしている。通りすがりの誰かにシャッターを押してもらうとカメラの手渡しによる接触感染のリスクがあるため、これなら感染拡大防止にも役立つメリットもある。
撮影した写真は画像解析からおおよその年齢や性別などの属性を分析し、集計することで今後の施策にも役立てられるようになっている。
日立情報通信エンジニアリング「クラウドサービスを活用した障害対応ソリューション」
日立情報通信エンジニアリングはネットワークやインフラの保守サービスをしており、担当者は昼夜問わず障害対応を行わなくてはならず、ストレスと向かい合わせだ。作品はフルリモートかつ自動化で早期復旧を目指した障害対応システムとなっている。
作品はAWSのクラウド上で稼働する。保守対象となるシスコ製品で障害が発生するとCisco Intersightに通知され、そこから今回の作品となるシステムに障害情報が通知される。そこからRedmineに障害チケットを登録したり、シスコのトラブルシューティングガイドから対応策を取り寄せたり、Webex TeamsやWebex Meetingsで関係者がオンラインで協議したり、フォーム形式で障害対応の操作や承認などを行えるようになっている。
このアプリケーションを使うことで従来なら5時間かかっていた障害対応を1時間40分程度に短縮することが見込まれている。ネットワークエンジニアの救世主となりそうなアプリケーションだ。