Whyはビジョンから生まれる
プロダクトのターゲットユーザーと課題は、「ビジョンから分解される」と小城氏は解説する。ビジョンに対して「誰を」「どんな状態にしたいか」というさまざまなケースを考え、そのいくつかを選んだものがプロダクトのターゲットユーザーと課題になるという。
こうしたWhyに対して、「100本、1000本とアイデアを出す」のが、具体的な解決策であるWhatだ。狭義のプロダクトを指すものとも言える。Whatはターゲットユーザーを目指す状態にできるかだけでなく、事業目標やミッション、実現可能性など、さまざまな考慮を経て選ばれる。そのため、「たくさんのアイデアを出さなければいけない」という。
事業目標としては、「なぜ自社がするのか」といった視点でのチェックが必要だ。事業としての競争力を発揮できなければ持続的なプロダクトの提供は難しい。真似されない仕組みや自社の強み・弱み、競合の強み・弱み、時世の変化などを押さえ、ステークホルダーとコミュニケーションできることも、プロダクトを育てるプロダクトマネージャーの重要な役割だ。
また、WhyやWhatといった層では、設計したユーザー体験とビジネスとが一気通貫していることが重要なチェックポイント。「例えば、営業と開発とで考えている顧客のペルソナが違ったりする」と小城氏は実際にあったエピソードを紹介した。
組織が縦割り化されていると、それぞれの部署がそれぞれでペルソナを設計したり、戦略の共有ができていなかったりする。プロダクトマネージャーは「縦割りを飛び越えていくのも役割」(小城氏)であり、プロダクトが提供しようとしているユーザー体験に対してビジネス全体がよく一致できているかが重要だという。
最後は4階層のHowに当たる部分だ。Howの項目は、UIや具体的な設計など、PM自身が積極的に手を動かすことではないが、「任せっきりにはせず、責任を持てるぐらいしっかりとUIや設計の基になるWhyやWhatを伝えられること」(小城氏)がプロダクトマネージャーの役割だ。チームの担当者がなぜそのUIや設計を採用したのか、プロダクトマネージャーは自分で語れるぐらいに責任を持って理解していることが理想的である。
チームを率いてステークホルダーをまとめる
プロダクトを育てるのと同じぐらい重要なプロダクトマネージャー役割が、チームを作ることだ。Tablyでは「プロダクト志向なチーム」を理想形として定義している。
これは、プロダクトチームの全員が自分ごととしてプロダクトを良くしようとこだわり抜くことだ。部署の目標とプロダクトの成功がリンクしていて、プロダクトを良くするためのチャレンジが称賛される組織が求められる。
プロダクト作りは仮説検証の繰り返しなので、たとえ失敗したとしても「仮説検証するチャレンジが称賛されるべき」だと小城氏は説く。心理的安全性や情報の可視化など、チャレンジを促し失敗を小さく抑える仕組み作りをして、こうしたプロダクト志向なチームを作っていくことが、プロダクトマネージャーには求められている。
このように、プロダクトマネージャーに求められる仕事は広範で、独学だけではなかなか学びにくい業務かもしれない。Tablyではこうしたプロダクトマネージャーとしての成長を目指す社会人に向けて、能力を評価するアセスメントや書籍執筆、研修サービスなどを提供していく考えだという。小城氏は「プロダクトマネージャーの白地図を押さえて、自分のどこに伸びしろがあるかを意識して成長してもらいたい」と、講演に参加したプロダクトマネージャーたちにエールを送った。
- ProductZineでの連載はこちら:プロダクトマネジメントの基本を学ぼう
