DX推進とデザインの急速な進化の両立を 具体的な取り組みとは
――DX Design室の特徴や強みについて教えてください。
鬼石 サイバーエージェントでは、メディア、ゲーム、アプリの分野など、多様なバックグラウンドをもつメンバーがUI/UXデザインに関わってきたことが大きな強みです。小売領域のDXに携わっていくうえでは実店舗のデザインもとても大切になるので、今後はそうした人材の採用も行いながらチームのケイパビリティを広げ、アプリとリアルを連携させた実績を作っていきたいと考えています。
東樹 ビジネスサイドから言えば、サイバーエージェントは子会社の集合体としての文化もあるので、パートナーの会社とも一緒に事業を立ち上げるのが得意です。それは社内でいろいろなプロダクトや事業を立ち上げてきたナレッジがあっての強みと言えるでしょう。今後、企業が社会に新しい価値を提供していくためには、デザイン力を活かして一緒に事業を作る動きパートナーが必要になるはずです。そういった取り組みにおいて、我々ならではのデザイン力と事業創造力が武器になると考えています。

――DX Design室では、具体的にどのような取り組みを行っていくのでしょうか。
鬼石 直近ですと、小売企業のアプリを中心としたオウンドメディアの立ち上げや改善に取り組んでいます。
ただ、受託開発でアプリを作ることがゴールではありません。ひとつの大きな目標は、アプリを中心に広告プラットフォームを作り、クライアントさんとサイバーエージェントが広告事業で提携し、新しい収益を作っていくことです。
たくさんアプリを利用してもらうことでデータを蓄積し、広告事業に活かしていくというロードマップの中で、僕らの任務はその入口であるUI/UXを磨き上げ、使い勝手を良くし、ユーザー数を増やしていくこと。まずはそこの成立を目指していきたいです。そして将来的には実店舗のデザインやリアル行動の設計デザインにも着手していく予定です。
東樹 ただ、いまのスピードでDXを推進していても意味がないと思っています。アメリカや中国で10年かかったことを、日本は1年でやらなければいけないはず。ですが従来の進みかただと、日本なりにまた10年かけて行うことになりかねません。
テクノロジーのハードルはあるものの、その壁をサイバーエージェントならではのデザイン力やユーザー視点などを活かして乗り越え、日本の小売領域におけるDX推進とデザインの急速な進化を両立させていきたいです。